本記事はフルオロウラシルの記事にも似たようなことを書いてありますので、そちらでも内容はあまり変わりません。
作用機序や代謝に焦点を当ててお話しています。

カペシタビンの服薬指導に必要な基礎

カペシタビンは,フルオロウラシルプロドラッグであり
その目的は腫瘍組織外での副作用を抑えることが目的とされています。
また、カペシタビン単剤としての催吐リスクは軽度です。

また、作用機序については
DNAを合成阻害する機序と
RNAを合成阻害する機序があるということは知っておくべきでしょう

代表レジメン

CapeOX+Bev(カペシタビン,オキサリプラチン,ベバシズマブ)223

切除不能進行・再発の結腸・直腸がん

CapeOX 289

胃がん術後補助化学療法,切除不能進行及び再発症例

カペシタビン+シスプラチン+ベバシズマブ

HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん

作用機序

肝臓・腫瘍組織でフルオロウラシルに代謝されて効果を発揮します。

ゼローダIFより

フルオロウラシル

詳しくはこの記事に前も書いてます

フッ化ピリミジン類(5-FU,テガフール,ドキシフルリジン,カペシタビン)に属しています。

生体内でFdUMP(フルオロデオキシウリジン一リン酸)とFUMP(フルオロウリジン一リン酸)に変換されて抗腫瘍活性を示します。

FdUMP(5-fluoro-2'-deoxyuridine-monophosphate)

チミジル酸合成酵素を非可逆的阻害→DNA合成阻害

チミジル酸合成酵素とメチレンテトラヒドロ葉酸の不活性化合物を形成します。

FUMP(5-fluorouridine-5'-monophosphate)

RNAに取り込まれ,RNAの機能を阻害

本薬は消化管より未変化体のまま吸収され、肝臓でカルボキシルエステラーゼにより 5'-deoxy- 5-fluorocytidine(5'-DFCR)に代謝される。次に主として肝臓や腫瘍組織に存在するシチジン デアミナーゼにより 5'-deoxy-5-fluorouridine(5'-DFUR)に変換される。さらに、腫瘍組織に 高レベルで存在するチミジンホスホリラーゼ(TP)により活性体である 5-FU に変換され抗腫 瘍効果を発揮する。

5-FU は FdUMP に代謝され、チミジル酸合成酵素(TS)及び 5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸 と不活性複合体を形成する。その結果チミジル酸合成を抑制することにより、DNA 合成を阻害 する。また、5-FU は FUTP に代謝され、UTP の代わりに RNA に取り込まれて F-RNA を生成 し、リボソーム RNA 及びメッセンジャーRNA の機能を障害すると考えられている

正直、筆者の考えとしては
DNAの合成を阻害しても
RNAの合成を阻害しても
翻訳を阻害することになりますので結果としては同じことになり、
明確な区別は不要とは思いますけどね。
※筆者の勝手な感想です

代謝経路

肝臓及び腫瘍で代謝された後,尿中に約80~90%が排泄されます。

本剤は、服薬後、未変 化体として消化管から吸収され、大部分が肝臓に局在する酵素カルボキシルエステラーゼ(CE) によって 5’-deoxy-5-fluorocytidine(5’-DFCR)に代謝された後、肝臓及び腫瘍組織で活性の高い シチジンデアミナーゼ(CD)により 5’-deoxy-5-fluorouridine(5’-DFUR)に変換される。さらに、 腫瘍組織で活性の高いチミジンホスホリラーゼ(TP)により活性体である 5-FU へと変換される ため、腫瘍組織でより高い 5-FU 濃度を得ることが可能である。

https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/450045_4223005F1022_1_020_1F.pdf

また,代謝に関わるCYP分子種は2C92E1とされています。

ヒト肝ミクロゾーム画分を用いてカペシタビン、5'-DFCR、5'-DFUR、5-FU 及び FBAL の薬物 代謝酵素系(CYP1A2、CYP2A6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4)への 影響を in vitro で検討した。その結果、カペシタビンは日本人において推定される血中非結合 型薬物濃度(約 0.007mM、2.5μg/mL)の 14 倍に相当する濃度(0.1mM、約 36μg/mL)では 阻害は認められなかったが、280 倍に相当する高濃度(2mM、約 700μg/mL)において CYP2C9、 CYP2E1 を 50%近く阻害した。一方、代謝物については薬物代謝酵素系への直接的な阻害は認 められなかった。

※併用禁忌の欄

本剤が肝チトクローム P450(CYP2C9)の酵素蛋白合成系に影響し、酵素活性が低下する可 能性があるので、CYP2C9 で代謝を受ける薬剤と併用する場合に併用薬剤の血中濃度が上昇 するおそれがある。

ゼローダIFより

参考

ゼローダインタビューフォーム

がん治療薬まるわかりBOOK

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