
このページは、赤血球が破壊された後の大まかな流れを理解してもらうページです。
Contents
代謝 | 赤血球やビリルビン
ヘムの構成をしている鉄の理解も大事なので、参照ください
鉄について(https://www.pharma-informations.com/iron-kakuron/)
赤血球
赤血球の主な機能は酸素の供給と二酸化炭素、水素イオンの排泄です。
構造は単純で、細胞小器官はありません。
赤血球にはヘモグロビンが含まれていて、ヘモグロビンにはグロビンというタンパク質と、鉄が含まれています。
赤血球代謝
初期は骨髄が関わります。
赤芽球
骨髄中の幹細胞は、エリスロポエチンによって赤芽球へと分化します
赤芽球はVB12や葉酸によってDNA合成を繰り返して増殖し、ヘモグロビンの合成を行います。
その後に脱核して、網赤血球となります。
網赤血球は約2日間骨髄にとどまってから末梢血に出ていき、〜2日で円盤状の
成熟赤血球となります。
成熟赤血球
成熟赤血球の寿命は約120日です。古くなった赤血球は脾臓等で破壊されて、鉄や間接ビリルビンに代謝されます。
ヘモグロビン代謝産物の間接ビリルビンは、肝臓で代謝されて直接ビリルビンとなり、胆汁へ排泄されます。
構造
赤血球の構造は、基本的には細胞膜の中をヘモグロビンの溶液で満たされているものになります。
そのため細胞小器官がないため、酸化的リン酸化ができません
(例えばミトコンドリアがないため、エネルギー産生は細胞質由来=解糖系に依存)
エリスロポエチン
エリスロポエチンは赤血球の産生を調節する糖タンパク質です。
主に腎臓で合成されます。
赤血球の代謝の特徴
エネルギー源はグルコースに大きく依存している
これはコリ回路や乳酸アシドーシスが関連します。
イオン調節の役割も持っている(緩衝作用あり)
体液のpH調節にも関与しています。
赤血球はCO2をHCO3-として固定された形で肺に輸送する
CO2+H2O⇄H2CO3⇄H⁺+HCO3-
赤血球内にある炭酸脱水酵素がCO2をHCO3-イオンに変換し、発生したH⁺はヘモグロビンが緩衝します。
そして発生したHCO3-はCl⁻と交換されて1)血漿中に出ていきます。(Cl⁻シフト)
ヘム代謝
ヘムは体の殆どの細胞で作られます。
肝臓は、赤血球以外でのヘム合成の主要な組織とされています。
ヘムは4つのピロール骨格からなるポルフィリンであることは鉄の記事でも述べた通りです。
合成について、少し細かく書いていきます
ヘムの合成
一応書いてはおきますが、ほぼ必要ない知識です。
ただ、理解度を深められる可能性がありますので一応書いておきます。
スクシニルCoA+グリシンから5-アミノレブリン酸(5-ALA)が作られる
スクシニルCoA+グリシン →5-ALA合成酵素 5-ALA
ミトコンドリアに局在する5-ALA合成酵素によって合成されます。
また、この反応はヘム合成における律速段階です。
また、過剰なヘムによって反応が抑制されます。
そして、この反応をすすめるためにはグリシンを活性化する必要があり、ピリドキサールリン酸が活性化させる役割があります。
ポルホビリノーゲンの合成
5-ALA→ポルホビリノーゲン合成酵素 PBG
4BPG→ウロポルフィリノーゲンⅢ
細胞質で2分子の5-ALAが結合することでポルホビリノーゲン(PBG)がつくられます。
その後4分子のPBGが結合することで直線上のテトラピロール化合物がつくられます。
これが環状化することで、ウロポルフィリノーゲンⅢ、コプロポルフィリノーゲンⅢとなります。
プロトポルフィリノーゲンIX
コプロポルフィリノーゲンⅢ→プロトポルフィリノーゲン
プロトポルフィリノーゲンの反応が進み、プロトポルフィリノーゲンIXまで進んだ後にはプロトポルフィリンIXとなります。
プロトポルフィリンIXは、フェロケタラーゼによってFe2+を導入されることでヘムが合成されます。
ビリルビン代謝
ビリルビンはヘムの分解によって生じます。
ビリルビンの75%は、赤血球からのヘモグロビンの分解で生じます。
老化した赤血球は、脾臓、骨髄や肝臓の単核球によって貪食されます。
成人において、250~350mg/dayのビリルビンが産生されています。
ヘムの環状構造はヘムオキシゲナーゼによってビリベルジンに切断されます。
直接ビリルビン | 間接ビリルビン
赤血球由来のヘムは非抱合ビリルビン(間接ビリルビン)と言われ、
グルクロン酸抱合を受けた抱合型ビリルビンのことを直接ビリルビンと言います。
ビリルビンは肝細胞によって代謝されて胆汁に排出される
ビリベルジンは水溶性ですが、ビリルビンは水溶性ではないです。
そのために分泌される前に代謝過程が必要です。
ビリルビンは血漿中では、溶解度を増加させるためにアルブミンと結合して存在しています。
網内系のヘムの分解によって生じたビリルビンは血漿に移動してアルブミンに結合します。
ビリルビンはエステル化によって親水性が増加します。
このエステル化はグルクロン酸、キシロースorリボースのカルボキシ基側鎖の抱合反応として知られています。硫酸が抱合に関わることもあります。
ビリルビンの主な抱合はグルクロン酸ジエステル抱合物で、
UDP-グルクロノシルシルトランスフェラーゼによって触媒されます。
抱合型ビリルビンは水溶性で、肝細胞によって毛細胆管に排出されます。
(胆汁中への分泌はMRP-2タンパクが関係しています。能動輸送 )
抱合型ビリルビンは消化管で細菌によってステルコビリノーゲン(便中のウロビリノーゲンと似たようなもので、無色)に分解されます。
また、これらは酸化されてステルコビリン(ウロビリン)となります。便の色はほぼこれです。
ウロビリンの一部は再吸収されて、その後肝臓or腎臓から再排出されます。
高ビリルビン血症 | 黄疸
高ビリルビン血症は、正常の肝臓が排泄しうるビリルビン量を産生量が上回ったり、肝臓のビリルビン排泄量が低下することにより起こります。
また、肝臓に障害がなくとも、胆汁の排出管の閉塞によっても高ビリルビン血症が起こります。
このような状態が続くとビリルビンが血液中に蓄積して、それがある濃度(2~2.5mg/dL)を超えると組織に拡散して、組織が黄色になります。
この状態を黄疸といいます。
参考
1)ベインズドミニチャク生化学p358
ハーパー生化学原書29版
臨床検査ガイド
診断に直結する検査値の読み方事典
終わりに
この記事は筆者が個人的な実用メモとして利用したり
他者の理解の参考になるようにと作成したものです。
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