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フェロ・グラデュメットについて
服薬指導とか注意点とかサラッとおさらいするための記事です。

適応としては、鉄欠乏性貧血に使用されます。
鉄の各論については詳しく書いてるのでこちらを参照ください→鉄について(各論)

8/6:記事訂正しました。タンニン酸による吸収阻害は、貧血治療において問題とはならないという点を踏まえた補足・訂正を行いました。

フェロ・グラデュメット|服薬指導の考え方

注意点
記事は基本的に筆者の備忘録であり、私なりの考えを記載する部分があります。その場合は基本的には根拠を示していますのでそれを正しいとするか、正しくないと判断するかは皆さんのアセスメントです。どう判断するか(妥当性)は皆さんが今までに培った薬学的知識と考察力ということでご自身が責任をもって服薬指導にあたってください。

類似化合物
クエン酸第一鉄の服薬指導
フマル酸第一鉄

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製剤的な特性

錠剤を構成する多孔性のプラスチック格子(グラデュメット)の間隙に硫酸鉄を含有し,内 服後,消化管内で物理的拡散により鉄を徐々に放出する.
・胃の中で急速に鉄を放出することがないので,胃粘膜に対する刺激が少なく,鉄吸収効率の 高い空腹時にも投与することができる.

フェロ・グラデュメットIF

徐放性製剤です。
また、鉄イオンを徐放的に出す薬ということになるので、副作用が軽減されると考えられます筆)
空腹時に鉄吸収効率が上がるのは、胃内pHが低い状態となっているからと考えられます筆)

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服薬指導としての内容 | 注意点や相互作用

聞き取ったり、伝えたほうが良いと思われる内容等を記載します

便の黒色化

便が黒くなるので、初回は指導必須です。

胃腸障害

鉄イオンは消化管粘膜を刺激する(毒性が強い)ので、定期的に胃腸障害の自覚症状がないか聞き取ったほうが良いと考えられます
(胃腸疾患のある患者に慎重投与)

便通が悪くないか

”錠剤の通過が妨げられ,憩室部位の壊疽および腸閉塞をきたすことがある”
ということで、
”腸管に憩室または強度の狭窄のある患者および腸管の運動機能が低下している患者”には慎重投与となっています。
抗コリン薬の併用があるときには確認したほうが良いかもしれません筆)
コーティングの残留・蓄積が閉塞のリスクにもなりかねません。

本剤は多孔性のプラスチック格子の間隙に硫酸鉄を含有させた徐放性鉄剤である.プラスチック格子は腸管内で崩壊せず,そのまま糞便中に排泄される.このため腸管の 狭窄や憩室,運動機能低下のある患者では,本剤の通過が妨げられ,腸閉塞,憩室部 位の壊疽等の重篤な症状を発現するおそれがある

フェロ・グラデュメット添付文書

便中にプラスチック格子が出てくる

ゴーストピルと呼ばれるものです。
初回は説明をしておくべき内容です。

本剤はグラデュメット型製剤であり,多孔性の不溶性プラスチック格子の間隙に硫酸鉄を含有させている.消化管内で物理的拡散により鉄を放出した後,プラスチック格 子は糞便中に排泄される

服用直後は寝転ばない・多めの水で飲む

口腔内や食道の停留が潰瘍に対してリスクとされています。

高齢者又は嚥下障害のある患者本剤が口腔内や食道に停留し,潰瘍形成に至った症 例が認められている(「適用上の注意」の項参照).また誤嚥により本剤が気管や気 管支に停留し,気管や気管支の粘膜障害(びらん,出血,浮腫等),気管支狭窄に至った症例が認められている.〕

フェロ・グラデュメット添付文書

タンニン酸含有飲食物は前後摂取しても問題ないと思われる

クエン酸第一鉄製剤ではタンニン酸含有飲食物等(お茶,コーヒー,バナナ,ブドウ,タンニン酸アルブミン,渋柿,イナゴマメ)との併用において、吸収の阻害は問題とはなりませんでした。
硫酸鉄製剤では吸収に影響がみられるようですが、貧血治療に対して影響はないようです。

クエン酸第一鉄では歯の色調変化の意味でタンニン酸含有飲食物が非推奨でした。
硫酸鉄徐放製剤では普通に飲んでいる限りは歯の色調変化はみられないとのこと。
(歯の色調変化がみられないことはフェロ・グラデュメットDI確認済み)

治療について、実際には、

①硫酸鉄製剤では含量が100mg以上入っていること
②ヒトにおいて鉄の吸収は通常1mg程度であること
③貧血状態では、ある程度鉄の吸収が増加すること

を考えると、タンニン酸含有飲食物の服用では、治療には影響はないと考えられそうです筆) 一応製薬会社のDIにも同様の見解を頂きました。

参考:https://faq-medical.eisai.jp/faq/show/1549?category_id=56&site_domain=faq

タンニン酸を含有する食品との相互作用について 本剤(クエン酸第一鉄)では、タンニン酸を含有する食品により吸収が阻害されたとの報告はないが、鉄剤服用に際し、 緑茶、コーヒー等のタンニン酸を含有する飲料を摂取した場合、タンニン酸と鉄が高分子キレート を形成し吸収が阻害されることが報告されている。硫酸鉄水和物製剤では、鉄剤とタンニン酸又は 緑茶を同時服用したところ、鉄吸収率はタンニン酸で約 1/2、緑茶で 2/3 に低下したとの臨床報 告がある。 (本剤では、in vitro でクエン酸第一鉄ナトリウムとタンニン酸を混合し、分子量 10,000 以下を限外 ろ過した結果、4 時間後で約 45%、24 時間後で約 50%の高分子鉄キレートを形成したとの報告が ある一方、鉄欠乏性貧血患者において、クエン酸第一鉄ナトリウムを水と緑茶による服用を検討した結果、鉄吸収と貧血改善効果に影響しないとの報告もある。

フェロミアIF

クエン酸第一鉄の記事はこちらに書いてありますので、また読んどいたほうが良いと思います

前後で牛乳を飲まない

鉄が牛乳に含まれるリン酸塩やホスホプロテインと鉄が結合してキレートを形成することが原因で吸収が阻害されていると考えられています
(フェロミアQ&Aより)
クエン酸第一鉄では問題ないようでしたが、硫酸鉄製剤でも(記載がないとはいえ)機序としてあり得る以上、前後での服用は避けるべきと考えられます。

動物性食品を多く摂る

ヘム鉄は効率よく吸収されます。ヘム鉄動物性食品(肉類)に含まれるので、多く摂ることで鉄分補給の助けとなります筆)

吸収の阻害をする食品やミネラル

食肉タンパク質およびビタミンCは非ヘム鉄の吸収を向上させる。タンニン(お茶に含まれる)、カルシウムポリフェノール類フィチン酸塩(豆科植物および全粒穀物に含まれる)は非ヘム鉄の吸収を低下させる[1,19-24]。大豆に含まれるタンパク質の一部も非ヘム鉄の吸収を阻害するといわれています。

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治療成績IF)

IFの情報を参考にしています。

造血作用

約40日の投与で、血清鉄値が基準値程度まで回復したという結果があります。
※貯蔵鉄の回復というわけではないので、その点に注意が必要です。

臨床薬理 3)鉄欠乏性貧血患者 10 例に本剤を投与(一日投与鉄量:平均 184 mg,投与日数:平均 37 日)したところ,赤血球数は平均 280×104/mm3 が 436×104/mm3 に,血清鉄値は平均 55 μg/dL が 159μg/dL にそれぞれ回復し,血色素量は平均 4.9g/日増加した.

フェロ・グラデュメットIF

食品含有量

表1:ヘム鉄源となる食品と含有量[10]
食品(1オンスは約28g)1食分あたりの
ミリグラム数
% DV*
鶏レバー、ソテー、3オンス(約85g)11.061
牡蛎、缶詰、3オンス(約85g)5.732
牛レバー、ソテー、3オンス(約85g)5.229
牛肩ロース、ロースト用切り身、赤身肉のみ、蒸し煮、3オンス(約85g)3.117
七面鳥、腿肉ロースト、3オンス(約85g)2.011
牛挽肉(赤身85%)焼きパテ、3オンス(約85g)2.212
牛、トップ・サーロインステーキ、赤身肉のみ、3オンス(約85g)1.69
ライトツナ水煮缶、3オンス(約85g)1.37
七面鳥、胸肉ロースト、3オンス1.16
鶏腿肉ロースト(皮なし)、3オンス(約85g)1.16
鶏胸肉ロースト(皮なし)、3オンス(約85g)0.95
新鮮なキハダマグロ、乾式加熱済み、 3オンス(約85g)0.84
アラスカ産タラバ蟹、湿式加熱済み、3オンス(約85g)0.74
豚背厚切り肉、直火焼き、3オンス(約85g)0.74
エビ(混合種)、湿式加熱済み、大4尾0.32
オヒョウ、乾式加熱済み、3オンス(約85g)0.21
表2:非ヘム鉄源となる食品と含有量[10]
食品(1カップは240ml)1食分あたりの
ミリグラム数
% DV*
インスタントシリアル、100%鉄分強化、3/4カップ (180ml)18.0100
インスタント強化オートミール、水で調理、1袋11.061
成熟大豆(茹で)、1カップ (240ml)8.848
レンズ豆(茹で)、1カップ(240ml)6.637
成熟赤インゲン豆(茹で)、1カップ(240ml)5.229
成熟ライ豆、大(茹で)、1カップ(240ml)4.525
インスタントシリアル、25%鉄分強化、3/4カップ4.525
成熟黒目豆(ササゲ)(茹で)、1カップ(240ml)4.324
成熟白インゲン豆(茹で)、1カップ(240ml)4.324
成熟黒インゲン豆(茹で)、1カップ(240ml)3.620
成熟ウズラ豆、(茹で)1カップ (240ml)3.621
木綿豆腐、生、1/2カップ(120ml)3.419
新鮮ホウレンソウ(茹で)、水切り済、1/2カップ(120ml)3.218
ホウレンソウ缶詰、水切り済固形部分、1/2カップ(120ml)2.514
冷凍ホウレンソウ(茹で)、刻みまたは丸ごと、1/2カップ(120ml)1.911
種なしレーズン、装/箱入り、1/2カップ(120ml)1.69
強化精製コーングリッツ、水でインスタント調理、1カップ(240ml)1.58
糖蜜、大さじ1杯0.95
市販精製パン、1枚0.95
市販全粒粉パン、1枚0.74

*DV = 1日摂取量。DVは、消費者が食品中の特定の栄養素の量を判断する際の参考として米国食品医薬品局(FDA)が定めた値である。FDAは、あらゆる食品ラベルに鉄のパーセントDV(%DV)の表記を義務づけている。%DVは、1食分にDVの何%が含まれているかを示している。鉄のDVは18ミリグラム(mg)である。DVの5%以下を含む食品が低量摂取源であるのに対し、DVの10~19%を含む食品であれば優れた摂取源であるといえる。DVの20%以上を含む食品であれば、その栄養素の栄養価が高いといえる。%DVが低い食品であっても、健康な食事に寄与していることに留意することが重要である。

参考
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/07.html

だいたいこんな感じかなと思います。
間違ってると思われる箇所等あればSNSやコメントまでお願いします。

薬局業界や医療業界についてのテーマを扱ったり、
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薬剤師界隈でのトレンドとかつぶやいてるので、良いかなと思います。
某呟きアプリケーション→https://twitter.com/Pharma_blog
以上です

参考

1)国立がん研究センター
2)フェロミアQ&A(医療関係者でないとアクセスできないようなので、直リンクはしてません)
3)飲料とお茶の相互作用
4)バナナ等抽出物を有効成分とする非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス剤
5)小児の服薬指導 松本康弘p234
6)ワインの品質とフェノール化合物

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