グレープフルーツジュースは小腸上皮細胞のCYP3A4の活性を阻害することが知られています。
その結果,該当薬物の最初の吸収過程に関わる代謝が阻害されて
血中濃度が上昇するということでしばしば併用注意の欄に記載されています。

皆さんはここで疑問に思いませんか?

肝臓に存在するCYP3A4で代謝される薬物と
小腸上皮細胞に存在するCYP3A4で代謝される薬物は同じなのか?

そしてこの疑問の意義はどこにあるのでしょうか。

もし両者で代謝される基質が同じとするならば
肝臓に存在するCYP3A4で代謝される薬物は当然小腸の3A4でも代謝されることになりますよね。

そうなると,肝臓の3A4で代謝される薬物は
軒並みグレープフルーツジュースの服用について注意喚起する必要があります。

でも世の中の添付文書(インタビューフォーム)の代謝の欄においては
「主として肝のCYP3A4で代謝される」と記載されてるものも多く存在するんです。

この「肝のCYP3A4」ってどういう意味?
ってなりますよね。

例えば肝臓に存在するCYP3A4で代謝されるけども
小腸に存在するCYP3A4では代謝されませんよ
という捉え方もできれば

肝臓の代謝酵素(CYP分子種)の中でも代謝に関わる割合として3A4が多いですよ
(小腸に存在する3A4でも代謝されますよ)
という捉え方もできます。

小言としてはメーカーの添付文書も正確じゃない書き方してんなって話でもあります

ということで今回の記事を書くに至りました。

添付文書上の記載例

今回は,アトルバスタチンの添付文書がきっかけでした。
薬剤師の皆さんも業務上確認することがありますよね。

 

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/671450_2189015F1023_2_01より

書いてるでしょ?「主として肝の薬物代謝酵素CYP3A4により代謝される」と。
そしてグレープフルーツジュースも併用欄にかかれています。

このことから
「ん?結局肝臓のCYP3A4にもグレープフルーツジュース影響すんの?」
という仮説が頭の中をぐるぐるしますよね。

併用注意欄にも,AUCが上昇したと記載されていることから
多分小腸の3A4にも影響してるんだろうな〜
とは思いながら調べてました。

AUCが上昇したと言っても,解釈がいくつかあって
Cmaxが上昇したパターンと
半減期が伸びたパターン
両方ありえますよね。

ということで書籍書いてるところに問い合わせてみました。

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