こんにちは。
年々下げられてきている薬価ですが、そのしわ寄せが表面化する事件が起こりました。

このメーカーにも悪い部分があるのですが本質を考えると

  • 国民の貧乏基質
  • 国民の医療制度に対する関心のなさ
  • 医療制度・配分を議論している上の方々が現場の状況を把握していない点

等が問題じゃないかなと思います。

というのも、”某メーカーが悪い”
と悪役を決めたところで本質を意識せずに終わらせたらまた同じことが起こるためです。

国民がどうとかは関係ないように見えますが、実はつながっています。
あとで説明しますね。

イトラコナゾール事件とは

これはその名の通り、イトラコナゾールという医薬品に、誤ってリルマザホン(寝付きを良くする薬)が混ざっていたという事件です。

非医療者の方は

「へえ〜そうなんだ」

「かゆみで寝れないから混ぜたのかな?」

みたいな反応をしてる人もちょいちょい見かけますが、事例としてはそんなレベルではないです。
非医療者の人はあまりリスクマネジメントに対する認識が低いので仕方ないかもしれませんが、
なんで炎上しないのかが不思議なくらいです。

事件概要

小林化工社HP(https://www.kobayashikako.co.jp/contact/itraconazole.php)
には、事実は書かれているものの、詳細な経緯はかかれていないっぽいですね。

● 本剤を処方・調剤された患者様へ下記をご説明いただき、服用の中止、残薬の回収をお願いします。

『イトラコナゾール錠 50「MEEK」』につきまして、製造過程におきまして、本来含まれないはず のベンゾジアゼピン系睡眠剤であるリルマザホン塩酸塩水和物が、通常臨床用量を超えて混入して いることが判明しました。服用された患者様の健康被害が報告されており、服用されますと同様の 健康被害が発生する可能性がございます。よって本剤の服用を中止いただき、患者様がお持ちの 『イトラコナゾール錠 50「MEEK」』を回収させていただきます。

https://www.kobayashikako.co.jp/news/2020/201205_itraconazole50-jk-medical.pdf

抗真菌薬に睡眠剤(最大量の2.5倍)が混入したようです。

原因としては

二人で確認するところを一人で完結させたこと

本来と異なる手順で作業を行ったこと(薬品の継ぎ足し)

最終確認の成分検査結果が通常と異なることを無視したこと

によって抗真菌薬に睡眠剤成分が混入する事となりました。

この抗真菌薬は、200mgの用量で使用することもあるため,その場合は

4錠→10倍量の睡眠剤を飲むということになります。

睡眠剤で恐ろしいのは、運転中の事故や転倒による害ですよね。

それらが全く意図しない薬で起こるわけですから、大事件というのは想像に難くないかと思われます。

自主回収(クラスII)のお知らせ

『イトラコナゾール錠 100「MEEK」』 『イトラコナゾール錠 200「MEEK」』謹啓 平素は弊社製品に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

この度、弊社が製造販売し、Meiji Seika ファルマ株式会社と共同販売しております経口抗真菌剤 『イトラコナゾール錠 100「MEEK」』および『イトラコナゾール錠 200「MEEK」』を自主回収(ク ラスII)することといたしましたので、お知らせいたします。

『イトラコナゾール錠 100「MEEK」』および『イトラコナゾール錠 200「MEEK」』につきまし て、承認書に記載のない工程を実施していることが判明いたしましたので、有効期限内の全ロット について自主回収(クラスII)することといたしました。

https://www.kobayashikako.co.jp/news/2020/201208_itraconazole100.200-jk-medical.pdf

医薬品の製造は製造工程や品質管理について、基準・決まりがありますからそれを守っていないといけません。この場合もそれらに違反していることになります。

医薬品に関する規制には

GMP:医薬品の製造管理及び品質管理の基準

GQP:医薬品などの品質管理の基準

GVP:医薬品等の製造販売後の安全管理基準

GPSP:医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準

JGSP:医薬品の供給における品質管理と安全管理に関する実践規範

などがあります。

具体的な原因や過程

原因は単一ではなく、複数あるようです。

小林化工(本社福井県あわら市)は12月12日、睡眠導入剤成分が混入し自主回収している経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」について、含有成分を確認する最終の品質試験で異変を検出しながら「厳密なチェックができていなかった」と明らかにした。

また、混入は厚生労働省の承認を得ていない工程で、原料を取り違えたのが原因とした。同錠剤を服用して死亡した患者は、首都圏の病院に入院していた70代女性だと発表した。服用との因果関係を調べる。 ⇒【写真】イトラコナゾール錠50「MEEK」  この日、小林広幸社長ら幹部が同社で報道陣の取材に応じ説明した。多数の健康被害に加え死者も出る事態に、小林社長は「重大な過失を犯し、責任を痛感している」と謝罪した。  睡眠導入剤成分の混入があった錠剤について、小林社長は「品質試験による確認を精査すると、(混入に気付くことができた)可能性がある。厳密なチェックができていなかった」と述べた。今後、医薬品の品質に詳しい第三者機関を入れて原因を究明し、再発防止に努めるとした。  同社は当初、同錠剤の品質試験の記録を確認したところ、本来はない成分の反応を検出していたが「通常では気にならない程度だった」と説明していた。  同社によると、同錠剤を作る過程で、機械への付着などで目減りする原料を継ぎ足す際に、主成分と睡眠導入剤成分「リルマザホン塩酸塩水和物」の容器を取り違え混入した。混入した量は1錠当たり、睡眠導入剤で通常使用する最大投与量の2・5倍に及ぶ。  原料の継ぎ足しは、厚労省の承認を受けた製造の手順書にはない工程で、同社幹部は「管理側が現場の実態を把握できていなかった」とし、第三者を通じ調査するとした。  イトラコナゾール錠は、爪水虫やカンジダ症などの治療に用いる医療用医薬品。同社は2004年7月から製造・販売している。  同社によると、混入があった錠剤を服用した患者で意識消失や記憶喪失、ふらつきなど健康被害の報告は、12日午前0時までで延べ134人となった。車などを運転中の事故は15件で、救急搬送や入院した人は33人。重複が判明し、事故と入院は前日より1減となった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0d6a74714219d2f3703cfaf8a5fad22760f7084b

ここからは現場(調剤薬局)で働いてる人間としての考えです。

同社などによると、混入は、加工途中に目減りした原料をつぎ足す作業で発生。同錠剤の工程は、原料の計量や乾燥、粒子の均一化など数日にわたり、有効成分であるイトラコナゾールは機械に付着するなどして目減りする。作業はチェック役と2人一組で行う規程だが、当時は1人で行っていたという。

本来投入するイトラコナゾールは高さ1メートル程度のドラム缶のような容器に入っているのに対し、取り違えた睡眠導入剤成分リルマザホン塩酸塩水和物は高さ15センチほどの菓子箱のような缶。同社は「ラベルもロット番号も違う。一般的に取り違えるレベルではない」とする。工場にはバーコード管理などはなく、人の手で確認していた。6~7月の製造で、担当者の記憶もはっきりしないという。

最終関門である成分分析の検査でも混入は見落とされた。製薬会社で長く新薬などの研究開発に携わった村上茂・福井県立大学教授は「情報の引き継ぎなど、現場のコミュニケーションができていたのか疑問だ。間違いは起こり得ることであり、最終チェックを厳密にやるべきだ」と述べ、混入があったロットが最終検査をすり抜けたことを問題視する。

 加工途中で有効成分の量が減ることはあるとして「あらかじめ多めに投入すれば済むこと。コスト抑制のため有効成分をぎりぎりの量にして後でつぎ足していたのかもしれないが、本来はやらない行為。工程が増えれば、その分エラーは起きやすくなる」と話す。

 実際、原料をつぎ足す行為自体が厚生労働省が承認した手順にないことも判明。同社幹部は「管理側と現場とで認識の違いがある」と釈明し、第三者機関を通じた調査で明らかにしたいとした。

 工程・品質管理を問われるミスがいくつも重なり、問題のロットは全国に出回った。大手製薬会社幹部は「自社で睡眠導入剤も製造しているが、原料の管理は厳重だ。なぜいとも簡単に間違えたのか信じられない」と驚きを隠さない。「小林化工が作っている製品を全て調べて、白黒付けないと安心して扱えないだろう」。同社製品の出荷を一時停止する製薬会社もあり、現地調査に入る会社が相次いでいる。

https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1227187

ダブルチェックするところを一人でチェックした

従業員が小林化工社を潰そうとしてやったんじゃないかってくらいひどい一連です。
本来継ぎ足してはいけないとされているのに継ぎ足して
二人でチェックするところを一人でしていたということですから。

日常的にこういう状況だったんじゃないかなと思います。

最終段階(品質試験)で異変が検出されるも、無視

異変を無視するのなら何のために検査したんですか?って話です。
元々は事故対策だったんでしょうね。それでもずっと事故もなく過ごしていると気が緩むというものです。

その結果が「試験結果の無視」につながったのかもしれません。
本人に聞いてみないとわかりませんけど。

被害状況

現在は、死亡者が2人出ており、一人は因果関係は調査中…という状況です。

そのうち一人は因果関係はないだろう

という状況のようです。

事故件数は23件

救急搬送・入院は37件とのことです。
(02.01.03現在)
https://www.kobayashikako.co.jp/contact/itraconazole_jyokyo.php

社長からのコメント

”一般的な感覚では間違えない なぜ取り違えたのか疑問”

とのことです。

現場を把握していなかったということかと思われますが

実際に他の薬でも承認と異なる製造方法をしていた(他規格のイトラコナゾールの回収理由より)ということから考えると

人件費を削減していたのではないかなと思われます。

一人でチェックさせていた管理者側の責任も十分にあるのでは??

そもそも人間が確認しているのですから、若手であろうがベテランであろうが関係ありません。
いくつもチェックが漏れていて、会社のマニュアル・システム面に不備があったということではないのかと私は考えております。

当事者ではなく、まるで他人事のような印象を受けます

水虫治療薬に睡眠剤混入、入社数年の若手が作業か…「記憶がはっきりしない」と説明  

製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、当時作業にあたったのは入社数年の若手男性従業員とみられることが、関係者への取材でわかった。従業員は「記憶がはっきりしない」との趣旨の説明をしており、弁護士ら第三者による調査委員会が原因を調べている。

同社によると、睡眠導入剤成分は今年夏、薬の製造過程で主成分を補充する際、取り違えて混入した。出荷前のサンプル検査でも、異物混入が疑われるわずかな異常データを検出しながら、そのまま出荷していた。

同社の小林広幸社長は、これまでの取材に対して「一般的な感覚では間違えない。なぜ取り違えたのか疑問だ」と話していた。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20201229-OYT1T50180/

ここからは現場(調剤薬局)で働いてる人間としての考えです。

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