インフュージョンリアクションとは副作用であり
抗がん剤の投与に伴い考慮すべき事象の一つです。
今回はその症状や対策について基礎内容を記載していこうかと思います。

インフュージョンリアクションの各論

インフュージョンリアクションの特徴です。

ポイント

インフュージョンリアクションの症状自体は過敏反応と区別できない程度には同じだが
発現頻度や発症機序が異なる。

インフュージョンリアクションの予防として前投与(支持療法)が大切

薬剤によって発現する確率は異なる

発症機序等

インフュージョンリアクションの発症機序です。
これは細胞からのサイトカインの放出により引き起こされる有害事象です。

症状としては
悪心や頭痛
頻脈
血圧低下
等があります。

サイトカイン放出反応とも言われる、主としてモノクローナル抗体投与中または投与後24時間以内に発現する症状の総称。モノクローナル抗体が標的細胞に結合し、細胞が障害される過程で起こるサイトカインの産生や放出により、一過性の炎症やアレルギー反応を引き起こすことが原因と考えられている。

http://med.sawai.co.jp/oncology/management/vol_08.html

発現時期

インフュージョンリアクションは基本的に薬剤投与開始直後〜点滴中に発症します。
点滴が終了してから24時間以内に回復するとされています。
また,2回目以降に関しては発現頻度・症状共に弱くなるのが特徴です。
(この点が過敏反応との大きな違いです)

症状

症状については過敏反応とインフュージョンリアクション共通なので参考にしてもらえたらと思います。

軽症

くしゃみ
悪心や嘔吐
注射部位周辺の熱感や疼痛
かゆみ

中等症

血圧低下(収縮期血圧が80mmHgを切る等)
軽度の気道閉塞症状(呼吸困難,顔面浮腫,声門浮腫,喘鳴等)
顔面蒼白,冷や汗
強力な嘔吐

重症

脈拍微弱
不整脈
痙攣
高度喘鳴
四肢蒼白
チアノーゼ

支持療法

支持療法についてです。

前投薬

これは添付文書に規定されているものとされていないものがあります。
(添付文書には過敏反応の対策として記載されています)

薬剤や投与方法(A法B法,速度など)によって異なりますので,ここに書ききれません。

パクリタキセルで言えば添付文書で「前投薬」と単語検索すると出てくるかなと思います。
例→https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670605_4240406A1031_1_21

支持療法に使用される薬剤は
ステロイド
抗ヒスタミン薬
アセトアミノフェンやイブプロフェン等のような解熱薬
等が使用されます。

後投薬

遅発性のインフュージョンリアクションを抑えるために
後投薬として投与後にも過敏反応のケアが推奨されているものもあります。

例:ダラツムマブ

本剤投与によるinfusion reactionを軽減させるために、本 剤投与開始1~3時間前に副腎皮質ホルモン、解熱鎮痛剤及 び抗ヒスタミン剤を投与すること。また、遅発性のinfusion reactionを軽減させるために、必要に応じて本剤投与後に 副腎皮質ホルモン等を投与すること。

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/800155_4291437A1028_1_08

治療

上記は予防のようなものでしたが,ここからはインフュージョンリアクションが実際に起ってしまった場合の対処法ということになります。

過敏反応治療の判別フローチャート
http://med.sawai.co.jp/oncology/management/vol_08.htmlより引用

過敏反応の対応 | 成人

http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/hinai_anaphylaxis_guideline.pdf
を引用しつつ記載します。
(抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版))

軽症

輸液投与

乳酸リンゲル液など 20mL/Kg/時間程度で開始。心不全患者や高齢者の場 合には適宜減量する。

酸素投与

必要に応じて酸素を投与 

対症療法

必要に応じて実施
マレイン酸クロルフェニラミン5 mg 静注

症状の改善がみられない場合

エピネフリン0.1%液(ボスミン®)0.2~0.5 mg を皮下注or筋注

中等症〜重症

エピネフリンの投与が第一選択

エピネフリン 0.1%液(ボスミン®)0.2~1.0 mg を皮下注or筋注
静注を要する場合は、エピネフリン(ボスミン®)0.25 mg の 10 倍希釈をゆっくり静注し、効 果不十分な場合、5~15 分おきに追加投与

輸液投与

乳酸リンゲル液など 20mL/Kg/時間程度で開始。基礎疾患によっては適宜減量

酸素投与,気道確保

高濃度(60%以上)の酸素投与
効果不十分な場合、気管内挿管を行い、100%酸素での人工呼吸に切り替える。
喉頭浮腫が強く気管内挿管が不可能な場合は輪状甲状切開を行う。

気道狭窄に対して

アミノフィリン 250mg を 5%ブドウ糖 20ml で希釈し、10~20 分かけて静注。

循環管理

必要に応じて処置を行う。

昇圧剤投与

血圧低下が遷延する際は、ドパミン 5~15μg/kg/分を併用

ステロイド投与

a. コハク酸ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ®) 500mg~1000 mg 点滴静注 

抗ヒスタミン薬

マレイン酸クロルフェニラミン(ポララミン注®) 5 mg 静注

Infusion reactionの対応

重症になると過敏症やアナフィラキシーの対応となります。

症状 処置
Grade1 発熱 悪寒 吐き気 めまい 頭痛発疹等 点滴速度を減らす等
Grade2 発熱 悪寒 吐き気 めまい 頭痛発疹等 ①投与の中止
②前投与

ヒドロコルチゾン100mg
Grade3~ アナフィラキシー様症状 肺障害 低血圧 気管支痙攣 ①投与中止
②アナフィラキシーや
 過敏症重症対応
③再投与は不可
がん化学療法副作用対策ハンボブックを参考に作成

重症度の目安

http://med.sawai.co.jp/oncology/management/vol_08.htmlより引用

注意が必要な薬剤

サワイオンコロジーさんのページにわかりやすいグラフがあったため,それを引用します。

薬剤名 抗体の種類 標的抗原 発現頻度
トラスツズマブ ヒト化抗体 HER2 約40 %
ペルツズマブ ヒト化抗体 HER2 4.5 %
セツキシマブ キメラ抗体 EGFR 5.56 %
パニツムマブ 完全ヒト抗体 EGFR All Grade:3.3 %
Grade 3以上:0.5 %
ベバシズマブ ヒト化抗体 VEGF-A All Grade:3 %未満
Grade 3以上:0.2 %
ラムシルマブ 完全ヒト抗体 VEGFR-2 単剤:4.2 %
パクリタキセル併用:4.9 %
リツキシマブ キメラ抗体 CD20 約90 %
モガムリズマブ ヒト化抗体 CCR4 単剤:40.9 %
化学療法併用:44.8 %
オビヌツズマブ ヒト化抗体 CD20 60.2 %
ブリナツモマブ 二重特異性抗体 CD19、CD3 63.6 %
オファツムマブ 完全ヒト抗体 CD20 49.8 %
アレムツズマブ ヒト化抗体 CD52 96.9 %
ダラツムマブ 完全ヒト抗体 CD38 47.8 %
エロツズマブ ヒト化抗体 SLAMF7 42.9 %
ニボルマブ 完全ヒト抗体 PD-1 単剤:3.3 %
併用:3.9 %
ペムブロリズマブ ヒト化抗体 PD-1 1.4 %
アテゾリズマブ ヒト化抗体 PD-L1 2.9 %
デュルバルマブ 完全ヒト抗体 PD-L1 1.2 %
アベルマブ 完全ヒト抗体 PD-L1 24.7 %
イピリムマブ 完全ヒト抗体 CTLA-4 単剤:0.7 %
併用:2.6 %
http://med.sawai.co.jp/oncology/management/vol_08.htmlから転載

参考資料

がん化学療法副作用対策ハンドブック

http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/hinai_anaphylaxis_guideline.pdf

http://med.sawai.co.jp/oncology/management/vol_08.html

以上です。

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