1. 吸入ステロイドの服薬指導するときはいろんなデバイスがあるので,新人の時とか結構混乱しますよね

ということで吸入デバイスについて書いてみました。

吸入療法のメリット

投与部位を局所的に作用させられ

また投与量も(内服に比較して)少なくすることができるというメリットが吸入療法にはあります。

実際に吸入ステロイドの含有量はμg単位ですよね。

吸入療法のデメリット

ちゃんとうがいしないと副作用がかなり出やすいです。

また,内服薬とは異なり吸入という一連の動作を行わないと投与できないというデメリットがあります
(飲むほうが簡単ですよね)

また,抗コリン薬の吸入やSABA吸入薬についてはうがいは必須とはされていません。

吸入ステロイドの副作用

基本的に命に関わるような致命的な副作用はないと考えても良いでしょう。

基本としてうがいすることで回避できます。

吸入抗コリン薬についてはうがいは必須ではありませんが,口渇の副作用が起こりうるため,うがいしてもらっても構わないと考えられます筆)

「ややこしかったらどっちもうがいしてもらって大丈夫です」という様な説明で良いと思われます。

また,「うがいの際に水を吐き出さずにそのまま飲み込んでもよいか?」

という質問を受けたことがありますが,「量的に少ないこと」を考えると,飲み込んでも問題ないと考えられます。

※一応メーカーにも確認とってます。

嗄声

声が枯れたような症状です。

この症状が起きたら本人からすると明らかに吸入薬が原因ってわかるので,
事前に説明と対策を伝えておく必要があります。

うがいをすることで回避できますが,まれにうがいをしていても嗄声を起こすことがあるようなので,

定期的に嗄声の有無について確認してあげましょう。

(適切にうがいできているのに嗄声が発現するようであれば薬剤変更することも考慮しないといけません)
筆)

口腔カンジダ

カビです。

吸入といえどもステロイドなので免疫を抑えます。

うがいしてもらうことで予防可能なので

説明必須です。

吸入に関わる用語

ICS:吸入ステロイド

SABA:短時間作用型β2刺激薬

SAMA:短時間作用型抗コリン薬

LABA:長時間作用性β2刺激薬

LAMA:長時間作用型抗コリン薬

pMDI:加圧式定量噴霧式吸入器
(pressurized metered dose inhaler)

DPI:ドライパウダー吸入器
(dry powder inhaler)

pMDI

pressurized metered dose inhaler

の意味で、

自分でプッシュすることで薬剤が噴霧できるのが特徴です。

ボンベを押すことにより勝手に薬剤が噴出されることから

吸入するのに強く吸い込まなくても良いため、発作時でも使用しやすいというメリットがあります。

具体的な製品としては

○○インヘラー

○○エアゾール

○○エアー

○○○○エロゾル

というものがあります。

エアゾール缶の中には薬剤と噴霧剤が入っており
噴射される前の部分でエアゾールとなります。

pMDIはエアゾール缶内の薬液と噴霧剤が完全に溶解しているもの(均一型)と
分離しているものに大別されます。

分離しているものについては、使用前に振らないといけません
(筆者的には患者がややこしくなるようなら、どちらも振るで説明しても良いと思われます)

また、カウンターが付いているものに関してはボンベを外すとカウントがずれる(誤作動)
可能性があるため、外してはいけません。
(ボンベのセットがずれていると定量噴霧できないため、外せるものについても使用前にボンベがちゃんとセットできているか確認が必要です)

吸入する際には垂直に持つのが大切です。

薬剤が噴出されるので,コールドフレオン現象に注意が必要です。
(薬剤の強い噴射力とやや冷た い薬剤が噴射されることにより咽喉頭に過度の刺激を与 え,咳き込み,むせるなどが起こること)

また、水洗可能なものはキュバール,フルタイド,サルタノール,アトロベントです。

ボンベを濡らすのは厳禁ですが、アダプターは水洗可能です。

そしてカウンターがついてないものに関しては,規定回数以上に噴霧できても
成分量が十分量でなかったりする可能性があるため、規定回数に達したら使用しないのが大切です。

分離型

使用前に振るタイプです

フルタイド(エアゾール);フルチカゾン(ICS),試し打ち不要

フルティフォーム;フルチカゾン+ホルモテロール(ICS/LABA)
         試し打ち4回,エタノール含有(+)

アドエア(エアゾール);フルチカゾン+サルメテロール(ICS/LABA)
          試し打ち4回

サルタノール(インヘラー);サルブタモール(SABA)試し打ち記載なし

メプチン(エアー) 試し打ち2回,エタノール含有(+)

均一型

使用前に振らなくても良いタイプ

オルベスコ(インヘラー);シクレソニド(ICS),試し打ち3回,エタノール含有(+)

キュバール(エアゾール);ベクロメタゾン(ICS),試し打ち2回,エタノール含有(+)

アトロベント 試し打ち新規は2回
       3日使用しなかったときは1回,エタノール含有(+)

レスピマット

Soft Mist Inhalerの意味です。

レスピマットはpMDIと同様に吸入する力が不要な点が特徴で,異なる点は容器を回転させて
ボタンを押すことにより薬剤が噴霧されます。
ただし,セット時と操作時にある程度力が必要です。(そこはpMDIも共通ではあります)

スピリーバ;チオトロピウム(LAMA)

スピオルト;チオトロピウム+オロダテロール(LAMA/LABA)

抗コリン薬に関しては吸入後のうがいは必須ではありません。
ただ、口渇の副作用は軽減できるため,うがいしてもらうように説明しても問題はありません。

目盛りに関しては噴霧ボタンを押した回数ではなく,回転させた回数でカウントされているので、そこは理解しておきましょう。

セット時

カートリッジを挿入しますが、結構力が要ります。
やろうと思えば逆さまでもセットできてしまうので,上下の確認は必ず行う。

また、セット前に180度回転させてしまうとセットできないので(無理やりセットすると壊れる)
回転させてしまったら噴霧ボタンを押すことでセットできるように戻ります。

DPI

ドライパウダーインヘラーの意です。

ドライパウダーを自力で吸い込む必要があるので、吸い込む力が必要です。

スイングヘラー
ディスカス
エリプタ
タービュヘイラー
ツイストヘラー
ハンディヘラー
ブリーズヘラー
ディスクヘラー

などがあります。

ディスカス

アドエア;フルチカゾン+サルメテロール(ICS/LABA)

セレベント;サルメテロール(LABA)

フルタイド;フルチカゾン(ICS)

があります。

特徴は特にないです。

音がするまでカバーを開けて、音がするまでレバーを押すだけです。

タービュヘイラー

シムビコート;ブデソニド+ホルモテロール(ICS/LABA),初回は合計4回カチッと音を鳴らすまで空打ち

パルミコート;ブデソニド;ICS,初回は3回まわして3回カチッと鳴らしてから吸入

オーキシス;ホルモテロール(LABA),(初回は合計4回カチッと鳴らしてから吸入)
があります。

吸入器下部のグリップを回して薬をセットするのが特徴です。

タービュヘイラーは吸入後の息止めは不要とされていますが,ややこしければ息止めしても構いません。
(息止め不要の理由は粒子径が小さいことから正しく吸入していれば肺に沈着するためとされているからです)

また、上部と下部に空気口が2箇所あるので、そこを塞がないように持つ必要があります。

縦長という構造上、水平より下に傾けると粉が出てくる可能性があるので水平より下には傾けないように説明しましょう。

ツイストヘラー

アズマネックスツイストヘラーがあります。

ツイストヘラーはタービュヘイラーのようにカチカチ回す必要はありません。キャップを開けることによって薬剤が充填されるからです。

キャップを開けると薬が充填されるので操作は垂直に持って行います。

タービュヘイラーと同様に上部と下部(真ん中らへん)に空気口があるので、そこを塞がないように持たないといけません。

これも逆さに持つと薬剤が溢れる可能性があります。

そのため、「吸入口を塞がないように」「水平に(水平より下に傾けないように)」吸入します。

ブリーズヘラー

オンブレス吸入用カプセル,ウルティブロ吸入用カプセル,シーブリ吸入用カプセルがあります。

オンブレス吸入用カプセル;インダカテロール

ウルティブロ吸入用カプセル;グリコピロニウム/インダカテロール

シーブリ吸入用カプセル;グリコピロニウム

カプセルを吸入器に入れてセットするタイプの吸入薬です。
吸入器を開けてカプセルを装着した後に,左右のボタンを押すとカプセルに穴が開いて吸入薬がセットされた状態となります。
注意点としては,左右のボタンをしっかり押さないと穴がしっかり開かない可能性があることに注意が必要です。

エリプタ

エリプタはアニュイティ,レルベア,アノーロ,エンクラッセがあります。

アニュイティ;フルチカゾンフランカルボン酸エステル

レルベア;フルチカゾンフランカルボン酸エステル/びらん手ロール配合薬

アノーロ;ウメクリジニウム/ビランテロール配合薬

エンクラッセ;ウメクリジウム

エリプタはカバーを開けることによって薬がセットされる吸入器です。
2回開けても倍量を吸入することはありませんが、
一回分が廃棄になってしまうため吸入するときのみカバーを開けるようにします。

参考

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsrcr/25/3/25_337/_pdf/-char/ja

https://www.kitano-hp.or.jp/kokyuki_check/pdf/23cd.pdf

明日からできる吸入指導 改定第3版 駒瀬裕子

 

 

 

 

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