
この記事は、鉄欠乏性貧血についての説明です。
各論について書きますが、細かいことは別記事のリンクを読んでもらうことにはなります。
訂正点等があれば都度更新していくことになるかと思います。
大きな訂正点の場合はその旨記載します
注意点
記事は基本的に筆者の備忘録であり、私なりの考えを記載する部分があります。その場合は基本的には根拠を示していますのでそれを正しいとするか、正しくないと判断するかは皆さんのアセスメントです。どう判断するか(妥当性)は皆さんが今までに培った薬学的知識と考察力ということでご自身が責任をもって服薬指導にあたってください。
Contents
鉄欠乏性貧血 | 症状や確認内容
有名な病気なので、そんなに新しい内容もないですが、書いていきます。
病態
酸素運搬低下によるものと、それを補おうとすることで起こる症状があります。
これは貧血共通症状といえます。
鉄欠乏性貧血は失血やヘモグロビン合成が低下することで起こる貧血と言えます。
酸素運搬能力低下によるもの
倦怠感、疲れやすい、傾眠、頭痛、耳鳴り
などの症状が現れます。
酸素不足の代償作用
動機・頻脈のほか、収縮期雑音等が現れます。
貧血の分類 | MCV検査
貧血は、Hb値やヘマトクリット値、赤血球数等から判断します。
鉄欠乏性貧血においては血清鉄や不飽和鉄結合能、フェリチンや便潜血も参考にします。
小球性貧血 | 正球性貧血 | 大球性貧血 | |
MCV | 80以下 | 81~100 | 101以上 |
鑑別疾患 | 鉄欠乏性貧血 鉄芽球性貧血 サラセミア 無トランスフェリン血症 | 溶血性貧血 失血性貧血 再生不良性貧血 骨髄異形成症候群 | 巨赤芽球性貧血 |
薬物治療学改訂9版より
各論 | 治療方針等
鉄についての記事は書いているので、参照されたい
→鉄について(https://www.pharma-informations.com/iron-kakuron/)
食事療法はその後の再燃予防に重要ですが、食事やサプリメントだけでは貧血の改善は難しいとされています。
(殆どは何かしらの原因があるため、それを改善するのが望ましいです。薬局で発見するのは難しいかもしれませんが)
タンニン酸含有食品は貧血の治療を妨げることはない1)ですが、
フェロミア等の(徐放製剤ではないもの)鉄剤は歯に着色する場合があるので、使用注意(アナウンスすること)筆)
治療期間としては、貯蔵鉄が十分量となるまで(数ヶ月)治療を継続します。
鉄剤は消化器症状が起こりやすいので、要観察。
貧血症状自体は約2週間程度で改善します。
経口鉄剤使用患者では、〜2割程度で食欲不振・便秘等が見られますが、数日で症状が軽減する例が多い1)です。
経口鉄剤が不適切とされる例や、SE等で治療が困難な例では注射が適応となります。
(潰瘍等があり、制酸剤が必須で鉄吸収が阻害されたり、また炎症性腸疾患では鉄剤が病態を悪化させる可能性がある)
鉄欠乏が慢性化すると、
貯蔵鉄の低下→血清鉄の減少→骨髄への鉄供給低下→ヘモグロビン・ヘマトクリットの低下
という順で貧血が進行します。また、トランスフェリン産生が代償的に増加することで、
TIBC(総鉄結合能上昇)・UIBC(不飽和鉄結合能)の増加がみられます。
原因としては食物からの摂取不足、胃切除や胃酸分泌低下による鉄吸収障害等があります。
治療方針としては、基礎疾患の究明と治療・鉄剤の補充を行います。
経口で鉄を補充する場合は、過剰になることはめったに無いのですが(吸収量が調節されるため)注射剤を使用する場合は過剰にならないように投与量の設計・観察が重要となります
また、鉄が欠乏すると、組織の鉄含有酵素活性低下による爪の変形や粘膜の萎縮の他、食道粘膜萎縮による嚥下困難が見られることがあります。
嚥下障害や舌炎がみられるものをPlummer-Vinson症候群といいます
治療薬
鉄剤で治療します。(リンクある薬物は服薬指導の記事があります)
薬剤としては
硫酸鉄(フェロ・グラデュメット)
クエン酸第一鉄(フェロミア)
フマル酸第一鉄(フェルム)
等があります。
鉄剤投与後約2週間ほどで網赤血球が増加し、その後にヘモグロビンが増加します。
しかし、鉄欠乏性貧血発症段階では貯蔵鉄がなくなっている状態のため、
(貧血が改善したタイミングで鉄剤投与を中止すると)
すぐに再発します。
参考
薬物治療学 改訂9版
今日の治療指針2019
薬局業界や医療業界についてのテーマを扱ったり、
服薬指導や生化学等の基本的内容を記事にしたりしています。
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