どうも。今回はかかりつけ薬剤師制度が患者のためになるのかというお話です。

かかりつけ薬剤師制度の意義はあるのか

今はかかりつけをとっている薬剤師がストーカー被害みたいなのにあってたり…

とかいう話もあるようですね。

この記事を書くきっかけは「薬剤師にアンケートをとってみました」
みたいな記事を読んだの(https://happypharmacist.net/archives/13439)
がきっかけです。

アンケートのとり方がWebなので、本当に薬剤師なのかとかいう疑問もありますが
そこを言い出したらキリがないのでそのへんはスルーします。

かかりつけ薬剤師制度について | 大まかな賛成意見・反対意見

僕が個人的に挙げていっても良いのですが、めんどくさいのとアンケートとかから取ってきたもののほうが偏らなくていいかなとおもいました。

賛成意見

賛成意見はだいたいこんな感じです。

かかりつけ薬剤師制度に賛成の方の意見

患者さんから信頼されて指名されることがモチベーションになるし、それに応えられるように努力を重ねていくことで自分自身のレベルアップにも繋がり、さらに患者さんに還元することが出来るから。(女性)

医療へのファーストアクセスがかかりつけ薬剤師となることで、未病予防から治療終末期までアドバイスができ、最適な医療を提案できる。
結果として社会保障費膨張は抑制できるため本制度には賛成だ。(男性)

必要な患者に必要な管理・指導を行い、それに応じた報酬をもらうのは妥当だと思うから。
実際、この制度に満足している患者も多数おり、業務を通じて制度の必要性・重要性を実感している。(男性)

多くの高齢者は複数の医療機関を受診しているが、各病院・クリニックで使用中の薬を把握できずに、重複処方や併用禁忌、腎・肝機能などの検査値を無視した処方がなされている現実がある。
そうした中で、かかりつけ薬剤師を持ち、自身の薬を一元管理する必要を感じている。
また、将来的にリフィル処方箋が導入されるとすれば、かかりつけ薬剤師のような、当該患者のことを深く理解している薬剤師が必要だと考える。(男性)

https://happypharmacist.net/archives/13439

これらを踏まえた私の意見としては、
それかかりつけ薬局でよくね

って感じです。
そもそものかかりつけ薬局の意義が薬の一元管理ができるとかなので。
薬歴を記載することで服薬指導に連続性を持たせることが可能になりますので、それは誰が投薬しても同じ情報量を持つことを意味します。

そのため、一人の薬剤師が担当することには基本的に意義はないです。

なのでこの件については反対意見の方が言いやすいです。

以下反対意見

かかりつけ薬剤師の考え方は理想ですが、一人の薬剤師が24時間対応するのは現実的ではない。家庭を持つ主婦であれば、子供との時間も大切です。(女性)

勤務時間外に患者さんから電話があっても薬歴を見れないので、適切に対応出来ない可能性があるし、個人の携帯電話の番号を患者さんに伝えて就寝中の電話が続くと、日常業務に支障を来すと思う。
かかりつけ薬局で十分。
薬歴を丁寧に書いているのは、誰が見てもその患者さんのことについて理解出来るようにするためでは?
時には、他の薬剤師の視点も必要だと思う。(女性)

もともと、患者さんの薬の一元管理は薬剤師のやらなければいけない仕事である。ただ、制度として行うと企業として利益を重視する観点になりノルマなど薬剤師の働きにくさが出てしまうから。(男性)

薬剤師は女性が多く結婚妊娠等で転職が多いこともあり、一人の薬剤師を定めること自体無理があるように感じる。
自分が患者側として考えた場合、よほどの信頼関係がない限り一人の薬剤師しか選べないのはその人と合わなかった場合デメリットしかない。
その割に薬剤師側の精神的な負担が大きいし、ストーカー犯罪への発展が心配。(女性)

https://happypharmacist.net/archives/13439

24時間対応について

かかりつけ薬剤師の契約をしないと24時間対応しないのか?」
しないことはないでしょう。なので、これはメリットとしてはかなり弱いです。

勤務時間外に対応できるのか

かかりつけ薬剤師の加算をとっていない私がいうのもなんですが、
処方内容を正確に覚えてるってのはかなり難しいでしょう。
なので一人の人がしないといけない理由というには弱いです。
薬歴を家に持って帰っているならできるでしょうが、家での盗難のリスクを考えると個人の負担は大きすぎると考えられます

他にもありますが、後述します。

かかりつけ薬剤師制度の成り立ち

推測ですが、おそらく「かかりつけ医」に乗っかっただけだと思います。

【かかりつけ薬剤師とは】

 「かかりつけ医」は、急病や専門外の事でも相談にのってくれ、病気になったとき、気軽にいつでも診てもらえる「身近なお医者さん」として、その機能を果たしてきています。

同様に、「かかりつけ薬剤師」には、お薬の服用・管理をはじめとして、体調や食事の管理など健康全般の相談ができます。

ご高齢の方などは特に、いくつもの病院から多種類の薬を処方されているケースがあり、お薬の飲み合わせが悪いものを知らずに服用してしまう危険性があります。また、お薬を受け取ったものの効果がよく分からず、副作用が心配で自己判断で服用を止めて、病気が完治せずに症状が悪化する可能性もあります。

 「かかりつけ薬剤師」とは、そのような現状の中で、薬の専門家として患者さん一人一人のお薬を一元的に管理し、服用状況を把握し、他のお薬との飲み合わせや副作用などの相談、健康全般(セルフメディケーション*)のアドバイスなどを行い、その患者さんにとって最適となる治療を支援していくものです。

https://www.pharm.or.jp/mame/20160202.shtml

大病院志向の大衆に向けて、

大病院を受けるよりも先に近医を受診してね

これがかかりつけ医の意義です。

「かかりつけ医ってのがあるのか。じゃあ薬剤師Verも作ってしまうか」
日本薬学会の説明を読むとそうとしか受け取れません。
(私はその様に受け取りました)

※経緯も含め、違う見方のある人はコメントいただけるとそれも考察に入れますのでぜひ。

かかりつけ薬剤師とは

仕組みとしては、H28年に制度化されました。

「かかりつけ薬剤師」という言葉をご存知でしょうか?平成28年(2016年)4月に診療報酬が改定され、薬局に「かかりつけ薬剤師制度」がスタートしました。その背景には、日本の急速な高齢化があります。平成37年(2025年)には日本の全人口の18%を75歳以上が占めるようになり、認知症の高齢者は700万人にも上ると言われています。さらに、平成47年(2035年)には認知症高齢者は800~900万人になると予想されます。
 厚生労働省は、上記の課題を解消するために高齢者患者さんを自宅で療養させる方向で施策を進めています。具体的には、地域の医師や訪問看護師、「かかりつけ薬局」の薬剤師が連携して、患者さんが自宅で医療を受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。平成27年(2015年)6月30日に閣議決定された骨太の方針で、かかりつけ医等と連携して地域住民の健康保持・増進に貢献する真の『かかりつけ薬局・薬剤師』確立を目指し、「患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行う」と、明記されました。

https://www.pharm.or.jp/mame/20160202.shtml

具体的な機能の説明

先程お伝えしたようにかかりつけ薬局の機能と一緒くたに説明されているのですが、一応書いておきます。

ひとりの薬剤師がひとりの患者さんの服薬状況を一カ所の薬局でまとめて管理し、かつ、それを継続して行う機能

薬を安全・安心に使用していただくため、処方薬や市販薬など、あなたが使用している薬の情報を一カ所でまとめて把握し、薬の重複や飲み合わせのほか、薬が効いているか、副作用がないかなどを継続的に確認します。
複数のお薬手帳をお持ちの方には、1冊に集約していただくよう、提案します。

https://www.nichiyaku.or.jp/kakaritsuke/about/index.html

一人の薬剤師が患者の服薬状況を管理

服薬状況の管理は必要です。
残薬がどれだけあって、どのタイミングで忘れやすいのか
服薬の意義を理解しているのか(飲まない理由の把握)
こういうことを把握するのは治療を適切に進めるために必要ですよね。

ということでこれは薬局を一つに決めて利用して貰う必要があります。

薬局を一つに決めて利用している場合、どの薬剤師が対応しても同じ情報量を持っているからです。
薬歴は指導に連続性を持たせるために書いてるので、誰が対応しても同じはずです。

なので、実施する薬剤師を限定するメリットは私にはわかりません

24時間対応患者・在宅医療を行う機能

見出しを読めば感覚的にわかると思うので詳細は省きます。

24時間対応は薬局単位でやればいいはずです。

「かかりつけ薬剤師の契約をしなかったらお前らは24時間対応はやらんのか?」
という質問を投げかけられたらあなたはどのように答えますか?
そこに答えが入っています。

在宅医療を行う機能についてはかろうじて個人の薬剤師がやる価値はあると言えます

第二十二条 薬剤師は、医療を受ける者の居宅等(居宅その他の厚生労働省令で定める場所をいう。)において医師又は歯科医師が交付した処方せんにより、当該居宅等において調剤の業務のうち厚生労働省令で定めるものを行う場合を除き、薬局以外の場所で、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設(獣医療法(平成四年法律第四十六号)第二条第二項に規定する診療施設をいい、往診のみによつて獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者の住所を含む。以下この条において同じ。)の調剤所において、その病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設で診療に従事する医師若しくは歯科医師又は獣医師の処方せんによつて調剤する場合及び災害その他特殊の事由により薬剤師が薬局において調剤することができない場合その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合は、この限りでない。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000146
薬剤師法第二十二条

薬剤師法上では、基本的には薬局外での調剤は禁止されています。
調剤の定義は法律上定められているわけではないので、「渡す行為」が調剤に該当するかといえばグレーなラインということになります。
このラインをホワイトにするためにかかりつけ薬剤師の契約をするというのはメリットにはなるかなと思います。

在宅医療の加算をとるという手法もあります。

処方医や医療機関と連携する機能

そのままです。これはかかりつけ薬局にもともと備わっている機能なので、

かかりつけ薬剤師の機能とは言えません。

大まかな機能とツッコミ・100歩譲ったメリットはだいたいこんな感じです。

かかりつけ薬剤師制度のデメリットが目立たない理由

メリットが大して存在しないかかりつけ薬剤師制度ですが、デメリットが目立ちにくいです。

これには実はカラクリがあります。

それは、かかりつけ薬局の機能とかかりつけ薬剤師の機能が一括されて一緒に説明されるからです。

かかりつけ薬剤師は不要ですが、かかりつけ薬局は必要なので
一緒に説明することで不要さが軽減されてしまうんですね。

一度厚生労働省や薬剤師会の出してるかかりつけ薬剤師の制度のメリットや機能について調べてみてください。
おそらくかかりつけ薬局と一括にされて説明されているはずです。

理由はもちろんかかりつけ薬剤師が不要なのでそれを隠すために
一緒に説明するしかないからです。

かかりつけ薬剤師のデメリット

デメリットというか…
という感じなのですが、かかりつけ薬局と機能が重複していますので、当然患者には意義を理解させるのはこんなんです。理解させる意義がないわけですから。
ここは考えて仕組みを作ってない方々が悪いです。

本来かかりつけ薬剤師の加算をとるには、患者にその意義を理解させる必要があります。
そしてその同意を取る必要があります。
取れると思いますか?追加料金が約100円くらいかかるんです。
理解すればするほど契約しないと思います。

これを契約させる方法ってどうやるかって話をしますと、

自己負担に上限のある人や自己負担無料の人を騙すような形で、契約させるという状況になります。

これがかかりつけ薬剤師の害です。負担も大きく、ちゃんとできる人が少ないんですよ。

かかりつけ薬剤師の名前が書いてるお薬手帳を私が見る機会がたまにありますよ。
理解させることができてないとかそういう話なんですけどね。

大手の状況

Twitterの方が記事を挙げてくれていたのでちょっとご紹介致します。

2年前の16年度改定直後の4月、日本調剤の薬局における調剤基本料1、2、3の算定割合は、それぞれ70%、7%、23%だった。だが、かかりつけ薬剤師指導料などを薬剤師1人当たり月100回以上算定すると、低い基本料から基本料1に“復活”する「特例除外」の薬局などを増やして、基本料1の薬局は全店の85%にまで増加した。ところが、18年度改定では、特例除外は廃止となり、その影響を真正面から受けたといえる。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201805/555993.html

かかりつけ薬剤師指導料等を薬剤師一人あたり100回以上算定すると基本料を上げられる救済措置があるみたいですね。

なので、薬剤師1人あたり100人ほどのかかりつけ患者がいるところもあるようです。

個人的な感想

どこの薬局のかかりつけ薬剤師がどうとかは、そこで働いてる人しかわからないのでどうこういうつもりはないです。

ただ、かかりつけ薬剤師のノルマとかがある薬局で働いてる人は薬剤師として終わってると思います。

かかりつけ薬剤師というのは、(100歩譲って加算とるとして)信頼関係を構築した上でするものなので、ノルマでどうこうするものではないからです。

どこの薬局の誰がノルマを課せられているかは知りませんが、

自己負担無料・上限の患者に対して意義も理解させずに加算をとってる薬剤師は
薬剤師として、人間として終わっていると私は考えています。
詐欺まがいの契約をさせているという意味でね。

以上です。

ご意見あれば匿名でコメントいただけると良いかなと思います。

最後に

薬局業界や医療業界についてのテーマを扱ったり、
服薬指導や生化学等の基本的内容を記事にしたりしています。
また、気になる話題とかSNSにコメント頂けると記事にすることがあるかもしれません。
薬学部生のように業界のトレンドとか全然わからない方はフォロー頂けると
薬剤師界隈でのトレンドとかつぶやいてるので、良いかなと思います。
某呟きアプリケーション
https://twitter.com/Pharma_blog

以上です。

関連記事も含めて色々書いてあるので一番下まで読んで頂けると幸いです

直接は関係ないですが、業界内容の記事なので良かったら読んでみてください

かかりつけ薬剤師制度について
不正請求問題
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