スポンサーリンク

漢方について久々に勉強したので備忘録としてメモ

今回は治療における病態把握のための指標について書いていきます。

漢方の基本的な知識

今回は整体観や八綱等、漢方を学ぶ上で必須な内容を書いていきます。
はっきり言って一度みたからといって覚えられるものではないので、定期的に読むの推奨です。

「こういう考え方もあるんだな」くらいでながしてもらって結構です。

基礎知識の記事はまだ続編入れますので、概念の説明って感じでこの記事は書いてます。

スポンサーリンク

整体観1)

漢方では、人体はつながっているという整体観を基本とします。 

整体観とは、全体は「単なる個々の集合」というわけではなく、
個々はすべてが繋がっていてこその全体だ」という考え方です。 

と言われてもピンと来ないと思います。 なので少し西洋医学的な例と、漢方医学的な2つの具体例をはさみます。

どういうことかというと、貧血という一つの状態に関して、西洋医学的な考えでは「鉄が足りないから鉄を補ってみよう」こういうイメージが主流かと思われます。 

漢方医学的には
「鉄は足りているが、何か他の原因があって鉄が上手く利用できていない」
または
「鉄が足りないのは吸収したり、栄養を取り込む器官の何かのバランスが崩れているためだ」

というように
「○○が不調なのは、体内の他の部分が悪くなっていることの代償的な働きによるもの」というような考えで
「人体内部はつながっていて統一されている」と考えています。 

例に挙げた貧血でも、消化機能が悪くなっているからかもしれませんよね。「それぞれの器官を一つずつ診るわけではなく、すべてがつながっていて一つの個体」とかんがえているわけです。筆)」 

「鉄を補う」という考えは、あくまでも「鉄」という実際に存在するものに焦点をあてているわけですね筆)

心身一如とは

心身一如について説明します

体はメンタルともつながっている

例えば嫌な事を後で控えてる時ってなんか体調悪くなったりすることありませんか?
あれって肉体的に悪い所がある訳ではないのに仕事のパフォーマンスが落ちたりしますよね。
他にも、好きな人と食べるごはんと、嫌いな人と食べるごはんではなんか味変わりません?
仲の良い友達と、すごく気をつかう上司や会食でもそうです。同じ食事を摂ってても全然味違いますよね。心ここにあらずというか… 
(逆に上司側だと味はおいしくなるかもしれませんね) 

これって別に味覚が変わったわけでもないのに、味が全然違うように感じるということです。 

そういうのが心身一如のイメージです。筆) 

肉体とメンタルは繋がっているという整体観を心身一如といいます1) 

天神相応

そして、人体は自然の一部という観念も漢方に存在します。
これを天神相応と言います 

これは三才思想という考えとも関連が深いと言われています
(人は太陽などからの天の気と、大地や海川等からの地の気により育まれるという考え方)

六気(ろっき) 

自然界の気候変化は風・寒・暑・湿・燥・火(または熱)の6種類に帰納されると言われ、これを六気といいます1)

これら季節変動が人体の適応力を超えてしまった時、六気は病邪となります。 

六気による病邪を六淫といいます。(指針) 

例えば大雨の日とか、頭痛したり気分が悪くなる人いませんか?
あれは「湿邪」に該当するんだろうなと考えています。(筆) 

漢方を考える時は、「症状」という一部の側面だけではなく、気候や体全体の不調のバランスも考えないといけません 

ちょっと寄り道…

ここで、すこし西洋医学と東洋医学の考え方の違いに触れます。

西洋医学と漢方医学の違いのイメージ 

上でも説明したように、漢方的な考えと、西洋医学的な考え(いわゆる、漢方じゃない薬)は結構違うんですね。 

西洋医学では「病気の悪い部分を治す、悪い臓器があるならそこに焦点を当てて治療する」
という
「悪い部分に焦点を当てて治療」という考え方です。 

これに対して漢方医学では
「体は基本的に良くできているもの。悪い部分があると言う事は、どこかのバランスが崩れているのだ」
というように
「全体を考えて、全体的なバランスをとることで改善させていく」
というような考え方のイメージです。(筆) 

この考え方の違いはどこで生まれたのでしょうか。 

西洋医学はデカルトが提唱した「人間機械論」を基礎に発展していて、 

「人間は機械の様な者である。故障した部分を修理する≒病気になった臓器を修理する」これに基づいています。 

つまり病んでいる臓器の治療が医療の目的と言われています1)

対して漢方は、「陰陽五行学説」などの全体のバランスを重視する思想を土台として、人体を有機的にとらえると言う枠組みで発展してきました 

漢方治療の目的は病気そのものを治すと言うよりは「病人の健康状態の回復」です。実際の原因は探っていくしかありません。
消化吸収能力や免疫力等、解決策は人によって千差万別です。人の体質や証によって治療が変わるのが漢方の特徴です。 

同病異治とか異病同治って聞いたことありませんか?あれも割と漢方に多いですよね。(筆) 

このように西洋医学と漢方医学では治療のニュアンスに違いがあるということです。 

スポンサーリンク

バランスを整えるという考え方

先ほども記載したように、漢方では体全体のバランスを重視しています。 

このバランスの考え方は、陰陽五行説を基にした考え方等があります。 

陰陽五行 

陰陽五行は、漢方医学の根柢の基本思想です。 

陰陽 

陰陽はそれぞれ相反する性質であり、すべての物事は陰陽という「二つにわけられる」というものです。 

あらゆる世界に中心がある訳ではなく、普遍的なものや理想像があるのでもなく、バランス感覚で事象をとらえます。 

陰と陽はお互いに対立しあい、また助け合う事によってバランスが安定します1) 

少し前に誰かが言ってましたよね。「俺か、俺以外か」と。これも陰陽説なのかもしれません。さすがにここは嘘です 

五行 

五行は万物を組成する基となる要素で、万物を木・火・土・金・水の5つに分類して、個々の性質や相互の関係で世界をとらえる哲理で、互いに促進しあい(相生:そうせい)、たがいに抑制しあう(相克:そうこく)、安定や近郊が保たれるといわれています1)


大事なのはこういう考え方が漢方に用いられていて、五臓のバランスとして取り入れられているということだと思います。(筆) 

このあたりから漢方を学ぶにあたって大事な内容が多くなってきます。

正邪 

正邪とは正気と病邪を意味します。 

正気 

これは人体の持つ生命力や抵抗力を指します。 

陽気陰液を合わせたものが正気と言われます。 

※陽気=機能的な面が主体の気 

 陰液=物質的な面が主体の「気・津液・精」 

病邪 

病邪とは、疾病を発生させる発病因子のことを指します。 

正邪のバランスでは、正気が勝っていれば疾病は発生せず、病邪が勝れば体内に侵入して疾病になります。 

話を戻すと、つまり疾病の治療の方法の原点としては、 

1.正気を補う方法 

2.病邪を取り除く方法 

があると言う事になります。 

このうち漢方が重視するのは正気の充実です。(実際には病邪を取り除くような漢方もありますが) 

たとえ病邪が強烈に発症している場合でも、根本は正気の不足があると漢方では考えます。体内で日々発生している癌細胞を死滅させるのも、死ぬと容易に腐敗が始まる肉体を新鮮に維持するのも正気の力と言えるとされています。1)

ちょっと寄り道②
免疫力という言葉の生む「怪しさ」

現代で例えると、ワクチンは正気を強めるという考え方に近いのかもしれません(筆者) 

漢方では人の持つ生命力を重視して、免疫力や自然治癒力を高めることを重視して治療します。
疾病の治療や再発を防止することに焦点をおいて治療や再発予防をする
というのが漢方の考え方です1) 

で、免疫力という言葉は怪しいの?

 某つぶやきアプリケーションでは、「免疫力という言葉は怪しい!まず疑え!」
みたいなことがたまに言われます。
批判的な見方をされますが、これは西洋医学にはない概念を持つために起きうる現象かと思います。

 例えば漢方医学における「気」という概念は主に生命エネルギーを指しますが、実体はありません。
しかし西洋医学では通常「検査や実際に定量できるもの」つまり「病気の原因は実態が存在する」ということを前提としてを考えて治療することが多いですよね筆)

そのような考え方の違いが、漢方医学の怪しさを生んでいると私は考えています。

 薬学にも、「実際に存在するわけではないけれども理論として考えるために存在する概念」ってありますよね。例えば「分布容積」という考え方も、理論としては存在しますが、実際には存在しないものなので、一応西洋医学的にもすこしはこういう考え方はあるのかなと思います(筆)

 ただ、基本的にはこの「免疫力という言葉の批判」 は漢方の批判というよりは
「民間医療の批判」として使用されることが多いです。 

漢方薬と民間薬の違い

漢方と民間医療の違い

漢方薬
医学書に処方の基準(量・服用方法等)が記載しており、それに従って使用する 

民間薬 
庶民の間での伝承(経験)的なもので、明確な基準がない 

というような違いがあります。また、現代の民間医療はあまりにも怪しいのが多いので、民間医療と漢方医学とを同列に扱うのは難しいかもしれません(筆者) 

未病 

未病とは「まだ病気になっていないが、病気になりかけている状態」を指します。 

原因は陰陽・正邪のバランスが崩れることで起こりますが、この状態が悪化すると
病気になるわけです。
そして漢方においては未病の状態で対処して改善することを「未病を治す」といい、優れた治療と言われています。(黄帝内経より) 

ここ(未病を治すという点)も西洋医学との違いの点であり、西洋医学的には検査値に異常をきたしていなくても、
東洋医学的には正邪陰陽のバランスの傾きがあり、漢方ではここにアプローチをかけます。 

西洋医学では理由もよくわからないということで「ビタミン剤とか」が処方されるか、「お大事に」で帰されることになるんじゃないかなと思います 筆) 

弁証論治 

漢方の診断と治療の全過程を指します
(弁証は診察により患者の体質を把握すること、論治は弁証に基づいて適切な治療を行うことを指す) 

患者の証が異なると、(同じ病気でも)治療法が異なることを同病異治といいます。 

また、違う病気でも同じ証であれば同じ治療することを異病同治といいます。 

弁証の基本に八綱あります

スポンサーリンク

漢方の病態把握の指標

漢方において病態はどのように把握していくのかという基本的な考え方を記載します

弁証

弁証は患者の病変がどのようなものかということを判断することを指します。
弁証の基本に八綱があります

証とは

証にもいろいろな定義がありますが、ここでは「患者の体質や症候」のことを指すこととします。

(八綱)

病態指標としては8つ(4対)に分類され、

陰陽 虚実 寒熱 表裏の概念があります。

病変の部位を把握する表裏
病変の性質をみる寒熱
正邪の強弱をみる虚実
全体を統括して弁別する陰陽を指します1)(定義は他にもあります)

陰陽

陰陽の考えの起源となるもの
陰陽二元論

身の回りのものすべてを陰と陽の対極に分類して捉えようとする古代中国思想

人の体で分類すると、陽は活発的な状態(代謝が亢進している状態)
          陰は活動が弱っている状態(代謝が抑制されている状態)

となり、それぞれで対処の仕方が異なります。

+α 何でもそうですが、漢方において陰陽もかなり深いです。筆者も数冊本を読んでますが、それぞれでちょっとずつ解釈も違ってたりします。なので、ズレが少なくなるように大まかに説明します。

暖かさが陽、冷たさや潤いは陰2)

漢方では主に陽は暖かさ陰は冷たさ潤いと考えます。

気は陽の性質、水は陰の性質

気には陽の性質があります。
そして、水には陰の性質があります。
血は陰陽両方の性質がありますが、陰として働きやすいです。

気が失われると陽が失われる傾向がある

気が失われると陽も失われますが、逆は必ずしも成り立ちません。
陽が失われたということは何かの理由で暖かさが失われていると考えます
(実際には気が失われていることが多いようです)

陰の不足は冷たさや潤いの不足

陰も同様に考えます

陰陽それぞれが不足するとどうなる

体内の陰 主に体内の熱を冷ます(清熱)、また潤す能力を指します。
 陰虚(陰の不足)は、ほてりや喉の渇き、皮膚の乾燥や目の充血、イライラなどの原因となります。 
体内の陽 主に体を温めたり、元気を与える、熱を持たせる能力を指します。
 陽虚(陽の不足)は、体の冷え、活力低下、皮膚が青白くなる、内臓の機能低下、気分が落ち込む原因になる傾向があります。 
3)より

虚実

虚実のイメージとしては、

虚弱体質

体力充実


をイメージとし、また

虚実には体質の虚実病毒の虚実がある

体質・病毒それぞれに虚実があり、それぞれを区別して考えます。

体質の虚実

虚:痩せている 体力がない 虚弱体質
実:体格ががっしりしている 体力がある

というイメージです。

実際に虚実のパターンを鑑別するには、消化器症状と活動性に注目します。

実証

食べるのが早い 疲れにくい 活動的

虚証

胃腸が弱い 疲れやすい 下痢しやすい   

といった特徴から判断していきます

虚証 必要なものが足りていない病態です。気血水その他が不足している状態です。見た目も弱そうな人の傾向があります。 また、易疲労、めまいふらつき、病気がちのような傾向が見られる他、不安感や落ち込みやすい、集中できないなどの訴えの傾向もあります。 
実証 「過量なものを体から出せない状態」です。基本は食欲があり、行動的で元気ですが、感情に大きな起伏があるという傾向があります。のぼせや出血、イライラや便秘がちの訴えが多いです。 
3)より

病毒の虚実

病毒の虚実は、体内にある病毒の量であり
発熱や発赤等身体に出現した免疫・闘病反応を測ります

実証

闘病反応が強い(邪実)

虚証

闘病反応が弱い

これらの治療方法の原則

:病毒を体外に排泄する→発汗法や瀉下法等
:足りないものを補う治療

寒熱

熱のイメージを指しますが、必ずしも実際の温度を指すわけではなく、

自覚的な感覚を指します。

病気のタイプを捉える考え方で、これも2種類に大別され、具体的には「寒証」と「熱証」にわけられます。 

寒証 

体内に寒が入り込むことで起きている不調を指します 

熱証 

体内に熱が入り込むことで不調が起きている状態を熱証といいます。 

熱証寒証
全身自覚熱感
口渇
ほてり
のぼせ
自覚冷感
悪寒
冷えで出る症状
(頭痛 下痢)
局所局所熱感冷え性
寒証 蒼白、黒ずんだ顔色。または悪寒があり、寒いのが苦手で温かい飲み物を好む傾向があります。 
患部に機能の衰退があり、温める必要があります。 
熱証 顔色が赤い、熱感があり、暖房を嫌う傾向があります。また、冷たい飲み物を好む傾向があります。 
この証は炎症が生じていることが多く、清熱(冷やす)処置を行います。 
3)より引用

表裏

表裏は大きく2つに分けられ、具体的には 

①病気の部位 
②病気の進行 

に分けられます。 

病気の部位 

部位を指す場合の表裏

  1.  
    この場合の「表」は、皮膚などの体の表面を指します。 
  1.  
    病気の部位の「裏」は内臓全般(消化器系・循環器系、その他)を指します。 
    ※表部の不調を「表証」、裏部の不調を「裏証」といいます。 

病気の進行を表す場合 

病気は「表から始まり、裏の方に進行していく」と考えます。
風邪で例えるなら初期の頃の悪寒や発熱、頭痛や関節痛などの症状が表証で、進むにつれて内臓系の不調(吐き気や腹痛など)→「裏証」が現れます。 
※表と裏の混ざった状態「半表半裏」という病態もあります。  

表証 頭痛、悪寒、関節痛、背部のこわばりなどの体表部に現れるもの。病気の初期や急性症状が多い 
裏証 腹痛、下痢、吐き気などの内臓全般に症状が現れるもの(消化器系や循環器系他)。病気が進行してから現れる症状、慢性症状が多い 
半表半裏 急性症状と慢性症状が交互交互にみられるもの。 
起こる部位も表裏の間が多く、みぞおちのつかえや食欲不振などの症状がみられる 
2)より引用
  1. まとめ 
  1. つまり、表は体の表面という意味と、病気の初期の症状という意味があるということになります。 
  1. 裏は内臓全般という意味と、時間がある程度経過してから現れる症状という意味を持つということになります。 

補足

陰陽 虚実 表裏は類似する概念です。

イメージとしては、
陰陽:性質や作用

虚実:量の過不足

寒熱:状態

と考えても良いでしょう。
(例外もありますが、実際には陽-実-熱というような組み合わせは多いそうです)

と、新井 信先生がMPラーニングでおっしゃっていました。

気血水〜については、続編を書きますので、今回はここまでとします
気血水・六病位・五臓六腑についての記事公開しました。
気血水・五臓六腑

参考
1)症状・疾患別にみる漢方治療指針
2)図解漢方処方のトリセツ
3)現場でつかえる薬剤師登録販売者のための漢方相談便利帖(杉山卓也)

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

管理人twitterはこちら

おすすめの記事