NSAIDsの一つである「ロキソプロフェン」は、
医療用医薬品として使用する場合は小児に対して慎重投与となっていますが
一般用医薬品として使用する場合には小児に対して禁忌となっています。

これは私が薬剤師一年目の頃からとても疑問に思っていたことですが、
患者さんからも聞かれることがあり、調べてみました。

ロキソプロフェンの添付文書に小児に関する記載

医療用医薬品としてのロキソプロフェン

医療用ロキソプロフェンにおける小児に関する記載はこのようになっております。

(7)小児等 9.7 小児等 小児等を対象とした臨床試験は実施していない

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/430574_1149019C1149_1_10

一般用医薬品としてのロキソプロフェン

一般医薬品としてのロキソプロフェンはこのように記載されております。

1.次の人は服用しないでください。
(15歳未満の小児)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcDetail/ResultDataSetPDF/430549_K1101000003_09_01/A

NSAIDsの小児に対するリスク

そもそも、NSAIDsは小児に対してリスクがあるのでしょうか。

小児のリスクという意味ではライ症候群が挙げられます。

インフルエンザ脳症はNSAIDsの服用がなくとも,起こりうる合併症です。
ただ,NSAIDsの服用によってリスクは高まることが知られています。
どちらも小児に限らず大人でもNSAIDsの服用によって
発症リスクは高まりうりますが
乳幼児においては脂肪酸代謝が大人と異なっており,サイトカインの影響を受けやすい状態になっているため乳幼児においてはよりリスクが高いと考えられます。

Reye症候群

同系統であるアスピリンはライ症候群をリスクとして
小児には投与されないと教科書的には記載されています。

Reye症候群は小児にみられる肝性脳症と脂肪肝を特徴とする病態である。
肝障害の潜在的な病院には子供の熱性ウイルス感染時におけるアスピリンの使用が関係しているとされてきた。アスピリンとReye症候群との因果関係は証明されたわけではないが,発症の恐れがあるため,アスピリンは通常,子供には投与されない

引用元;病態生理に基づく臨床薬理学p699より

これはNSAIDs単独でのリスクと言うより,
熱性ウイルスに感染・発症しているときに投与するとリスクが高いと解釈することができると考えられます。

インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症は,脳の血管内皮細胞の機能不全とされており,
発症は乳幼期にほぼ限定されています。
これは乳幼児のエネルギー代謝は脂肪酸に依存していることによるもののため,
年齢を重ねるにつれて(糖代謝等の割合が増えるにつれて)リスクは減少すると考えられます。

参考;https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/47/3/47_160/_pdf/-char/ja

 

一般用医薬品のロキソニンが小児に禁忌の理由

上記を踏まえると、「小児はインフルエンザ脳症のリスクが高い」ということを理由にして
禁忌指定にしているのではないかと考えられるのですが、私は正直煮えきりませんでした。
ということで、第一三共ヘルスケアの問い合わせ窓口に質問してみました。

今回は個人的な事というより一般論のため,記載いたしますが,もしメーカーに注意されたらこの部分は消します。

時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃より弊社製品につきましてご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
弊社のホームページにてお問合せをいただきました、
「ロキソニンS」の件につきまして回答させていただきます。

本日、お電話させていただきましたが、繋がりませんでしたのでメールさせていただきました。
製品に関するお問い合わせは、お電話にて回答させていただいております。
下記受付時間でご都合の良いときにお電話くださいますようお願い申し上げます。

末筆ながら今後益々のご健勝をお祈り申し上げます。

第一三共ヘルスケア株式会社 お客様相談室 井
 〒103-8234 東京都中央区日本橋3-14-10
   電話番号 0120-337-336
   受付時間 9:00~17:00(土、日、祝日、当社休日を除く)
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当メールのアドレスは送信専用のため返信できません。
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・・・・・・・・・・<お問合せ内容>・・・・・・・・・・・・・・・・
薬剤師としての質問です。 医療用のロキソプロフェン錠剤の添付文書には、小児への安全性は確立していない という内容が記載されていると思いますが、 一般用医薬品では「使用しないでください」と、禁忌として記載されています。  この医療用医薬品としてのロキソプロフェンと 一般用医薬品としてのロキソプロフェンではどのような違い(経緯)から禁忌の指定が外れているのでしょうか? (OTCとしてのロキソプロフェンはなぜ禁忌なのでしょうかという質問にも言い換えられます)  よろしくお願いします。 また、ネットに「一般論としてこういう回答がされました」ということを記載したいので、根拠の記載を頂けると幸いです。

この内容で問い合わせをした結果、
医師に診てもらっているか否かの違い
という回答を頂きました。

要は患者が熱を出したからと勝手にロキソニン飲まれた場合に
脳症起こしたりして大変なことになるから,あまり所持されるのも嫌だという内容を頂きました。
(要約です)

ライ症候群とかそういうのを考えてと言うわけではないんですか?
と、念押しして質問したところ、「そういうわけではないです」
という回答をいただきました。

NSAIDsが小児に対して禁忌である理由は熱性ウイルス感染の際にリスクがあるため。
インフルエンザの患者にNSAIDsを投与しないほうがいいということで締めさせていただきます。

通常時であればある程度栄養が摂取できる年齢であれば問題ないだろう(筆者の考え)

結論が出たというところで今回は以上とさせていただきます。

ありがとうございました。

最後に

この記事は筆者が個人的な実用メモとして利用したり
他者の理解の参考になるようにと作成したものです。
誤字やおかしな情報があれば筆者SNSか記事コメント欄
にコメントいただけたらと思います。
※コメントを許可していない記事もあります

 

 

 

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