骨粗鬆症の治療方針を知るために,周辺知識を記載しました。

骨粗鬆症の基礎知識

骨粗鬆症とは
骨量の減少と骨質の劣化によって
骨の脆弱性が増大し
骨折リスクが増大する骨格疾患です。

原発性骨粗鬆症

原発性骨粗鬆症は発生頻度が高く,閉経後骨粗鬆症老人性骨粗鬆症に分類されます。

閉経後骨粗鬆症

閉経後の女性ホルモンの低下により破骨細胞が活性化
→骨吸収>骨形成となり、骨密度が低下します(高回転型)

老人性骨粗鬆症

老人性骨粗鬆症は生理機能の低下によって骨吸収と骨形成両方が低下しています。
Ca²⁺の欠乏と,それに伴う副甲状腺ホルモンの増加によって骨形成が骨吸収よりも低下し、
骨密度が減少します(低回転型)

続発性骨粗鬆症

続発性骨粗鬆症は二次的に引き起こされる骨粗鬆症で,特定の疾患や薬物によって起こされます。
原因として
甲状腺機能亢進症や副甲状腺機能亢進症
クッシング症候群
慢性腎不全や関節リウマチ
糖尿病も原因として知られています。
薬剤ではステロイドが有名です。
他には抗痙攣薬,ワルファリン,SSRI,メトトレキサート,ヘパリン,性ホルモン低下療法治療薬等がガイドラインに記載されています。

一般的な続発症状

骨粗鬆症の基本的な症状は
骨折
円背変形
腰背部痛
身長短縮
とされています。

原因

骨粗鬆症の原因として
骨密度の低下
エストロゲンの欠乏
加齢
生活習慣
等があります。

骨折の危険因子
骨密度 既存骨折 喫煙 飲酒 家族歴 運動 体重
http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf
http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf

交感神経(骨芽細胞β₂受容体)は骨形成を抑制し,骨吸収を促進するとされています。
(http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf)
そのためか,β遮断薬の投与によって骨吸収マーカーが低下したり骨折リスクが低下される可能性が示唆されています(根拠は同上)

http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf

 

検査所見

骨粗鬆症の検査所見として、骨密度や骨量,胸椎や腰椎のX線撮影,骨代謝マーカー値,カルシウムやリン等があります。

骨密度

骨密度(骨塩定量)は骨の強度に大きく影響するため
骨密度の測定は骨折リスクを予測するために重要です
本来骨密度を測定するためには骨量(骨基質量+骨塩量)を測定する必要がありますが
骨基質を測定するのは難しいために
実質には、骨塩量を測定します。
測定には二重エネルギーX線吸収測定法があります。
(異なる2種のエネルギーのX線を照射して骨と軟部組織の吸収率の差によって骨密度を測定する)

X線

胸椎腰椎のX線写真は椎体の骨折や変形,骨粗鬆化の鑑別に必要とされています。
骨萎縮の程度は,骨の画像のコントラスト等によって判定します。

骨代謝マーカー

主な骨代謝マーカーとして骨形成マーカー,骨吸収マーカーがあります。
薬物の効果を評価する際にも使用されますが,評価可能な薬物はマーカーに大きく影響するものと限られています。(ビスホスホネート,SERM,女性ホルモン,テリパラチド,VD製剤(エルデカルシトールのみ),VK,デノスマブ)
エルデカルシトールでないVD製剤,イプリフラボン,カルシウム製剤,カルシトニン製剤は骨代謝マーカーで効果を評価できません1)(評価は困難と記載有り)

骨形成マーカー

骨型アルカリホスファターゼ(BAP)
Ⅰ型プロコラーゲン-N-プロペプチド(P1NP)

骨吸収マーカー

骨吸収マーカーとして
Ⅰ型コラーゲン架橋-N-テロペプチド(NTx)
Ⅰ型コラーゲン架橋-C-テロペプチド(CTx)
酒石酸抵抗酸ホスファターゼ-5b(TRACP-5b)
デオキシピリジノリン(DPD)
カルシウム,リン等があります。

http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf

診断手順

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015)を引用します。

http://jsbmr.umin.jp/pdf/GL2015.pdf

※YAMとは,若年成人平均値を指します(20~44歳)
原発性骨粗しょう症の診断は
①椎体や大腿骨の近位部に脆弱性骨折(弱い外力により起きた骨折)がある
②その他の部位に脆弱性骨折があり骨密度値が成年成人女性の平均値(YAM値)の80%未満
③脆弱性骨折はないが,骨密度値がYAMの70%未満or-2.5SD以下

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