結核治療に必要な基礎知識

結核はヒト型結核菌(マイコバクテリウム ツベルキュロシス)による呼吸器感染症です。

結核菌は結核症の8割以上を占めるもので,
早期に発症する初感染結核症(一次結核)と
初感染後に長期間が経過してから発病する二次結核があります。

結核は感染症法において2類感染症に指定されています

疫学

全人口の約3割が結核菌を持っています(誰でも持っている可能性はある)

国内では毎年約2000人が結核で死亡していて、日本は結核の中蔓延国とされていて、この背景には若い世代で結核に対する免疫を持たない人の増加や高齢者や経済弱者の発病弱者の増加、多剤耐性結核の出現等が挙げられます。

また、感染者のうち発症に至るのは約10〜15%とされています。

新登録結核患者の半数以上が70歳以上であるなど高齢者の割合が高いです。

結核菌の特徴

咳やくしゃみで拡散し、それを吸い込むことで感染します(飛沫核感染)

結核菌は弱毒菌のため、無症状のことが多い(潜在的に進行する)

そして約90%の感染者は生涯を通じて発症しません。

また、肺結核はヒト型結核菌による呼吸器感染症で、全結核症の80%以上を占めます。殆どは肺の症状でとどまりますが、一部は経気道や血行性・リンパを通じて全身に拡大することがあり、それらは総称として肺外結核と言われます。

偏性好気性の桿菌でマイコバクテリウム属(抗酸菌属)に分類されます。抗酸菌属の特徴として、細胞壁にミコール酸(脂質)を多く含んでおり,グラム染色で染色されにくいという特徴があります。

抗酸菌は結核菌群と、非結核性抗酸菌に分類されます。

結核菌→結核の診断

非結核性抗酸菌→非結核性抗酸菌症の診断となります

病態生理

体内に定着した菌は好中球と肺胞マクロファージに貪食されますが,一部はマクロファージ内で増殖を続けており,初感染病巣を作ります。この一部はリンパ行巣に運ばれてリンパ節にも病巣を作ります。

結核菌は肺に病変が多いですが,どこでも症状が出うります(経気道性,リンパ行性,血行性)

症状

全身症状:倦怠感、食欲不振、微熱・発汗等

呼吸器症状:咳、喀痰・血痰、胸痛、呼吸困難等

診断

ツベルクリン反応

ツベルクリンを皮内注射して、発赤部分の大きさを測ることで感染の有無を判定します。

陽性だからといって必ずしも発症しているわけではない点に注意(BCGを受けている人も結核感染者と同様の結果になる)

画像検査 胸部X線検査、CT

発症初期の軽症の結核診断に有用です。

結核病巣はかんたんに発見できますが、病巣での結核菌の存在を確認するには結核菌検査をしなければわかりません

結核菌検査

塗抹検査:喀痰をスライドグラスに塗擦して調べる方法です

培養検査:結核菌だけを増殖させる培地に痰を塗って観察

ツベルクリン反応:ツベルクリンを皮内注射して48時間後に発赤の大きさを測定(4型アレルギーを利用)。BCGの既往によっても陽性となる(偽陽性の可能性)があるので注意

PCR

ナイアシンテスト

クォンティフェロン検査

等があります。

※初感染から短い期間(2ヶ月〜2年)で発病した場合を一次結核

 数年以上を経て発病したものを二次結核といいます。(免疫低下等が原因)

薬物治療

多剤併用療法が基本で、最低6ヶ月(4剤2ヶ月,それ以降2剤)の治療を継続することになっています。(ハイリスク患者の場合はより期間を長くすることおおいです)。

180日より短いと服薬率が低下することとなり,治療期間が少なくなるので場合によっては疑義照会ものになります。

耐性菌の発現を防ぐために患者の結核菌に感受性のある抗結核薬を3剤以上組み合わせた多剤併用療法が基本となります。

治療薬をしっかり服用するのが重要なのでWHOでは患者に医療従事者の目の前で服用してもらうことを基本としたDOTs(直接監視下短期化学療法,直接服薬確認療法)の導入を推奨しています。

また,抗結核薬とされる薬剤には使用順序が規定されており,
一次抗結核薬(ファーストライン)と
二次抗結核薬に分類されています。

ファーストライン抗結核薬

ファーストラインの中で必須(第一選択)薬と補助薬があります。

第一選択薬

イソニアジド

ミコール酸合成阻害薬です。

副作用は末梢神経障害が有名で,ビタミンB6製剤を併用することで予防します。また肝障害もみられることがあります。

また,MAO阻害作用を持つため,チラミン中毒(ワイン・チーズ)にも注意が必要です。
他にもジアミンオキシダーゼ作用も持っており,赤身魚にも注意が必要です(ヒスタミン中毒)。頭痛やかゆみなど。

また,大部分は肝臓でアセチル化を受けて不活性化されるため,遺伝的にアセチル化能(酵素はNAT2)の弱い人(日本人約10%)では副作用を発現しやすいとされています。

リファンピシン

DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害します。

副作用としては肝機能障害が有名です。

また,原則朝食前投与とされています。

体液やコンタクトレンズがオレンジ色に着色することがあるので説明が必要です。

CYP3A4と小腸上皮細胞のP糖タンパク質を阻害しますので,薬物相互作用がとても多い薬でもあります。

補助薬

ピラジナミド

酸性環境で抗菌活性を強く示すため,マクロファージ内の結核菌に対して有効とされています。
また,作用機序は詳細不明です。

エタンブトール

アラビノーストランスフェラーゼ阻害による細胞壁合成阻害作用です。

特徴的な副作用としては視神経障害があり,放置していると戻らない場合があります。

ストレプトマイシン

30Sリボソームに作用してタンパク合成を阻害します。

特徴的な副作用は内耳神経(Ⅷ神経)障害のため,めまいや難聴の症状に注意が必要です。

アミノグリコシド系は経口吸収率が極めて悪い物が多いため,結核に対して使用する場合は筋注が原則となります。

結核菌の感受性を見ながら3〜4剤を併用して治療します。

ここで,イソニアジドリファンピシンの2剤は副作用や耐性等問題なければ必ず使用するべき薬剤とされています。

その他の抗結核薬

二次抗結核薬です

カナマイシン

エチオナミド

エンビオマイシン

パラアミノサリチル酸

サイクロセリン

ニューキノロン系

等があります。

治療方針

結核菌は分裂増殖の活発性により

分裂増殖菌

半休止菌

休止菌

に分けられます

菌量の多い初期では全てが混在するため、初期強化療法(それぞれに有効な多剤併用により広く叩く)

ある程度菌が減少すると,半休止菌が多くなりますので
INH(イソニアジド),RFP(リファンピシン)の2剤を中心とした維持療法を行います。

薬物治療額8版 p370 より引用

このように菌量によって初期と維持期で抗菌薬を使い分ける治療が治療の重要なポイントとなります。

最後に

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