また病院さんが不祥事を起こしてしまったようです。

非薬剤師に調剤をさせていた病院があった

という記事です。

薬剤師ではない職員に調剤・投薬をさせていた

よくある話、想像するに難しくない事例ではありますが。
これをすることの病院側のメリットとしては、人件費が圧倒的に浮くということです。

●なぜ無資格調剤が駄目なのか

医療用医薬品の交付は原則薬剤師でなければいけません。
なぜでしょうか。後ほど説明していきます

厚生労働省は、「無資格調剤の事例は聞いたことがない」とコメント

こういった事例について、厚生労働省は「聞いたことがない」という発言をしているようです。
いくらでもあると思いますよ。発覚していないだけで

北海道旭川市東旭川町の愛生病院(60床)で2016年9月から約3年にわたり、薬剤師の資格のない職員が、院内薬局で患者の薬を調剤していたことがわかった。

厚生労働省は「院内薬局で無資格者の調剤事例は聞いたことがない」としている。職員が調剤した診療報酬は約150万円で、同省北海道厚生局は22日にも、報酬の不正請求にあたるとみて同病院を指導する。

同病院を運営する社会医療法人元生会(旭川市)によると、無資格での調剤は少なくとも16年9月~今年7月、延べ279人の患者に対して行われていた。これまで健康への影響は確認されていないという。

薬剤師資格ない職員、患者に3年間薬を調剤…「近隣に薬局なく」

こちらの記事も参考になるかと

3年間で延べ300人に無資格調剤 旭川・愛生病院(北海道新聞より)

追加情報です

愛生病院問題 院内調剤、監視難しく 無資格隠し「口裏合わせ」

不正に得た金銭は返金するべき

結局どのような対応をしたのかまではわかりませんが、不正請求です。
患者に対して、安全に治療を行うという意思がないというだけでも信頼は失墜します。

患者さんはこのことを知っているのでしょうか?

保険者に返金するのはもちろんのこと、患者に対しても全員に返金するべきですよ。

無資格調剤がダメな理由

 

今回問題となった無資格調剤についてですが、薬剤師法による、「処方した医師または薬剤師以外の人間が調剤してはならない」という部分に反したことが問題です。

[ 調剤 ]

第19条 薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる目的において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。

薬剤師法より引用

なぜ薬剤師が調剤しないといけないのか

医薬分業の成り立ちをご存知でしょうか。
こちらを御覧ください→医薬分業とは

簡単に言うと、
医師の処方が本当に正しいかどうか、別の人が確認してくださいね」

ということです。
医師は患者さんの症状を聞き、病名を診断して適切な薬を適切な量で出すわけです
(処方といいます)

しかし、医師も人間ですから、全て正しい処方ができているかというと、そうでもないです。

たまには間違えます。  

(例:京大病院医療事故。炭酸水素ナトリウムの濃度・投与量を誤り、患者死亡

このようにお医者さんでも処方ミスしますので、医師の処方が正しいのかどうかを確認する人が設けられました

その任務を担うのが薬剤師です。

第一章 総則
(薬剤師の任務)
第一条 薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

薬剤師法

薬剤師は、薬剤師国家試験という試験を通過することにより、知識・倫理・技能等の担保がなされています。

(免許の要件)

第三条 薬剤師の免許(以下「免許」という。)は、薬剤師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して与える。

(試験の目的)
第十一条 試験は、薬剤師として必要な知識及び技能について行なう。

薬剤師法

長くなるので割愛しますが、一番大事な部分を書きますね。

薬剤師は、医師の出した処方せんに対して、誤っている可能性があると判断した場合には、Drに確認しないといけません

第二十四条 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。

薬剤師法24条

この部分が薬剤師の最も重要な仕事といっても過言ではないです。

もうひとつの重要な任務も書きますね。

(情報の提供及び指導)
第二十五条の二 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

薬剤師法25条

これは
飲み合わせ上の注意:そもそも飲み合わせがダメなのか、時間を空ければ大丈夫なのか
飲み方
その他注意事項
軟膏やクリームの混合の可否の判断
副作用の説明
途中で勝手に中止しても良いのか
どういう場合に中断して、病院を受診するべきなのか
等の説明責任にあたります

これは24条の疑義照会にも関わってきますが、この情報提供だけでもかなりの知識が必要です。

それを知識や技能について、なんの保証もついていない人(無資格)に薬の用意と説明
させるとか正気ですかね??

この人達って、飲み合わせの確認とかできるの??処方についての疑わしい点わかるの??

こういう危険性をわかっていて容認しているのが、本件の病院での院長先生です。

国もある意味容認(黙認)してるのか?ってレベルです。根拠はここです。

厚生労働省は「院内薬局で無資格者の調剤事例は聞いたことがない」としている。職員が調剤した診療報酬は約150万円で、同省北海道厚生局は22日にも、報酬の不正請求にあたるとみて同病院を指導する。

薬剤師資格ない職員、患者に3年間薬を調剤…「近隣に薬局なく」

一応指導すると書いていますが、はっきり言って、このような事例を聞いたことがないというのはありえないでしょう。いくらでもやってる病院ありますから、
「知っているけど指導しなかった」というのが現実的なところじゃないですかね?

単純に(厚生労働省が)仕事してない可能性もありますね。

あと、この記事で

「同病院は「近隣に薬局がなく患者の便宜を図るため、職員が調剤してしまった」と説明している。」

薬剤師資格ない職員、患者に3年間薬を調剤…「近隣に薬局なく」

薬局がないから仕方がなく…というのならば。指導料を取ってはいけないでしょう
薬代だけを徴収して、お渡し というなら私は筋が通っているということで言い分については納得しますが
(違法というのは置いといて)

たぶん指導料とってますよね。

まあここは明らかにされていないのであまり強く言えませんが…。

薬剤師は事務員よりお金かかるから、といったところでしょう。

そもそも薬局がないから非薬剤師に調剤させたっていうのがおかしいでしょう。

薬剤師を雇って、調剤させれば良くない?

それをしないのが意図的ですし、法律を知らなかったと言うならそれはそれで大問題ですよね。

こんなのしてるところって、医療事故あっても隠蔽されそうですね。

ということで何が問題かっていうのはおおまかにわかってもらえたかと思います。

薬を貰う側からすると、どこの馬の骨ともわからん人にまともに説明も受けずに薬もらうのも怖いですよね。

それで調剤過誤とかなったら溜まったものではないと思います。

薬局では薬剤師が渡してるのに、「あいつは薬剤師じゃない!違法だ!」と保健所にクレームをいれる人もいるんですけどね。なぜか病院には優しいんですよね。それか厚生労働省がそういう意見を無視してるか

そこで、薬を渡しているのが薬剤師かどうか見分ける方法をお伝えします。

薬剤師が調剤しているのかどうか見分ける方法

病院や診療所内で薬をもらうときに
「質問したことにちゃんと答えてもらえなかったこと」ってありませんか?

「Drの言っていたように使ってください!!」
で押し切られたことありませんか??
そのパターンはほぼ確実に薬剤師ではない人が調剤してます。

院外薬局であればそういう場合もあるんですけどね。
薬剤師であれば、一般的な使い方なら答えられますが、詳細な使い方は処方箋からはわかりませんので。
(病院と院外薬局の連携は、何もない状態であれば処方箋とお薬手帳くらいです)

院内薬局でそれはちょっと考えにくいですね。電子カルテに書いてるはずなので。
あとは、薬の作用機序とか聞いてみると良いと思います。薬剤師ならわかるはずです。
たまに作用機序の怪しい薬等もありますので、必ず答えられるかというとそうでもありませんが。
薬剤師なら添付文書みたらすぐにわかりますので、
「薬がどういう風に効くのかを聞いて、数分時間もらってもわからないようなら薬剤師かどうか怪しい」というような感じですね。

正義感の強い方(正義マン)なら、違和感を感じたら保健所・厚生労働省・医師会あたりに問い合わせしてみてもいいかもしれませんね。そうしないと今の医療業界は変わりません。

某SNSアプリケーションでの反応

いま、SNSではこういう反応がされています。引用していきますね。

https://twitter.com/higurashi0911/status/1198025026542292992?s=20

患者さんの安全と、不正なことをしている病院さんがどんどん摘発されていくことを祈っています。

終わりに

薬局業界や医療業界についてのテーマを扱ったり、
服薬指導や生化学等の基本的内容を記事にしたりしています。
また、気になる話題とかSNSにコメント頂けると記事にすることがあるかもしれません。
薬学部生のように業界のトレンドとか全然わからない方はフォロー頂けると
薬剤師界隈でのトレンドとかつぶやいてるので、良いかなと思います。
某呟きアプリケーション
https://twitter.com/Pharma_blog

以上です。

関連記事も含めて色々書いてあるので一番下まで読んで頂けると幸いです

コメント一覧
  1. 中の人 より:

    7月に発覚、どうしてすぐに公表しなかったのか。
    9月4日に税制上優遇される医療社会法人認可、9月6日に自主的に保健所へ連絡。
    11月22日に厚生局個別指導、その前日の新聞報道。
    Facebookでの理事長発言や報道を見ていると浮かんできます。

  2. 中の人 より:

    ちなみに内部告発とありますが正確ではありません。
    薬局長自らが幹部会議で自白しました。
    本人は休日が欲しいがために薬剤師法の聖域である調剤を放り出していたのです。

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